ホテルから灼熱の太陽に焼かれながら歩くこと約45分、石垣島の中でも有数の観光スポットである川平湾に到着。
長く続く白い砂浜と、間近に迫る濃い緑に覆われた森。その間には見たことも無いような色をした海が広がり、何とも言えぬ独特な景観を形作ります。
それにしてもこの透明度。澄んだ海水が織り成す青のグラデーションは、波打ち際から見ているだけでも吸い込まれてゆきそう。
抜群の透明度を誇る川平湾は、その水のきれいさからグラスボートによる遊覧が有名。船に居ながらにして海中を覗けるグラスボート。僕も乗ってみたかったのですが、今回は見送ることに。せっかくの初沖縄、初離島。この旅では、時間や予定にとらわれず心底のんびりしてみたい。僕にしては珍しい選択です。
船の時間を気にすることなく、のんびり静かに歩く海岸。観光客はみなボートに乗ってしまったので、海辺は波のささやかな音だけが聞こえてきます。
海の青さは空の青さを映しているのだという。それなのに、なぜこうも表情が違うのだろうか。竹富の海とも、底地の海ともまた違う、この抜けるような清々しい碧さ。ひと口に海といっても、それがもつ顔は無限大なのだということを、今一度思い知らされます。
今は丁度干潮の時間。湾内はかなり浅く、水深の違いから生まれる様々な青さが海面を彩ります。湾の出口まで歩いてくると、その先に広がる深い青色をした海。もうそこは東シナ海。飛行機で見たエメラルドグリーンの帯と外海の境界線を地上から見ると、このように見えるのですね。
すっかり潮の引いた川平湾。波に浸食された珊瑚の岩山が、満潮時の海面の高さを教えてくれます。その高さは四駆の車ほどもあり、自然の起こす神秘の力の大きさに驚き。これだけ遠浅だと、潮が満ちはじめたら一気にここは海の中になることでしょう。
空と海、これでもかという青さを、潮風に吹かれながら楽しむ浜辺のさんぽ。この日の僕は、やっぱりボートに乗らなくて正解でした。こんなも無限に広がる青さの移り変わりなど、そうそう見られるものではありません。
もう本当にきれい。本当にそれしか言葉が出ない。この青い帯に秘められたいくつもの色彩に、ここへ来てから何度目を奪われたことか。この青さには、人を惹きつける何かが溶け込んでいます。
海の青さもさることながら、砂浜の白さときめ細かさがまた印象的。美しいビーチを絵に描いたようなこの対比が、川平湾の美しさを造り上げているのでしょう。
そんな白亜の砂浜では、小さいヤドカリが集団でお引越し中。この小さい貝がみんなで一生懸命少しずつ動く姿を、歳も忘れて膝小僧を抱えながら眺めます。
相変わらず日差しは強いながらも、太陽から隠れさえすれば涼しいというのが、石垣島の良いところ。きっと今では、体感的な暑さは東京の方がきついと思う。焼けた肌の痛さはあるものの、木陰のくれる一服の清涼感はクセになりそう。
日陰で涼を楽しむ、穏やかな時間。隆起した珊瑚礁越しに眺める世界は、青さと白さ、そして溢れんばかりの光の洪水に包まれているのでした。
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