デジカメ電池切れで写真が撮れないので、仕方なくホテルへ一目散に向かいました。
途中の道路はずーっと広電の路面電車と併走しており、その並びには戦後すぐからのような佇まいを見せる商店街も。かなり道は狭いですが、ゆっくり走る分には面白い道です。
そしてホテルにチェックインし、大浴場で汗を流した後、すぐに腹ペコのお腹を満たすために街へと繰り出しました。
広島初日は、いわゆる広島名物を食べたかったので、事前にぐるなびで調べておいたお店へ。今回お世話になったのは、『雑草庵 安芸』。ここも大当たり!!
広島菜とじゃこの炒め物ごま風味は、ごま油香る広島菜とじゃこを豆腐の上に載せてぱくり。もう一発目から酒が欲しくなる一品でたまりません。
じゃことお茶の葉のかき揚げは、さくっと香ばしく揚がったかき揚げを、お茶の葉のさわやかさにより、さらにさっぱりといただけます。
そして一番楽しみにしていた、こいわしの刺身。これは広島でなければ食べられない、鮮度命のお刺身です。
東京で食べる形のいいいわしと違い、ほとんど青魚臭さも無く、それでいて脂はしっかり載っています。でも身は引き締まっている。まさにうまい!の一言。もう酒が止まりません~!
そして広島といえばかき。今回はちょっと火を通したかきを食べたかったので、かきのちり蒸しを注文。
プリッと蒸しあがったかきと、そのダシを吸った豆腐に野菜をポン酢でいただきます。これもノックアウト。広島に来て本当によかった!
〆は広島菜巻きおにぎり。広島菜の葉っぱでおにぎりを巻いています。僕は小さい頃からこの手のおにぎり(野沢菜や高菜)が大好きで、もちろん今回も迷わずオーダー。その期待を裏切らない旨さ。
ここまでの美味を揃えられてはもちろん日本酒が進まない訳がありません。
また、カウンターにいた女将さん?(というには若すぎる美人さん)が、広島の見どころをたっくさん教えてくれるので、すっかり一人で来ていることを忘れいい気分に。恥ずかしながら覚えていないくらいの種類を飲んでしまいました。
広島のお酒は全般的に旨い!申し訳ないが、あまり今まで広島は酒どころ、というイメージはありませんでした。が、何を飲んでも個性があっておいしいんです。
県内の様々な街で酒が造られているそうで、東京へ帰る日には、西条市で酒祭りも開催されていました。女将さんに勧められたのですが、泥酔状態で自転車を担ぎ新幹線ホームを歩く自信が無かったので、泣く泣くあきらめました。
そんな中で出会ってしまったこの一本。広島県は庄原市の花酔酒造、「どぶ ないしょの酒 活性純米酒」。(画像は自宅で撮影)
純米の辛口にごりとメニューに書いていたので、珍しさから思わず注文。そして一口含み絶句。これは旨い!唯一無二のお酒です。
にごり酒の領域を超えたドロドロ加減は、まさに「どぶ」。口に入れた瞬間に微発泡の心地よい刺激が駆け巡り、活性を体感できます。
風味は「スコール」のような甘酸っぱい爽やかさ。でも後味すっきりの辛口。摩訶不思議な味です。ラベルも洒落っ気があっていい。
この味に惚れ込んでしまい、購入できるお店はないか尋ねてみました。ところが、まず一般のお店においているのは見た事が無く、仕入先の酒屋さんも飲食店専門の問屋とのこと。
手に入らないとがっかりしていたところ、お店に在庫が1本だけあり、ボトルキープの値段である3000円ならば分けてもいいというありがたいお言葉をいただきました。もちろん即決!
ここでしか出会えないだろう美酒を持ち帰ることができる喜びに浸り、夜の広島をふらつきながら帰るのでした。
ホテルから広島の飲食店街中心地である流川まで歩いて20分程。さすがに帰りはしんどく、広電の路面電車に乗って帰りました。ホテルへの系統は唯一、他系統と乗り入れをしておらず、一乗車100円とリーズナブル。
この日は京都市電から移籍した車両が折り返していました。元京都市電の車両には「銀閣」や「東山」など、京都の地名が愛称として付けられており、大切にされながら第二の人生を過ごしています。
実は今回、岡山、松山、広島と路面電車の走る都市を3つも巡ったのですが、路面電車に乗ったのはこれが最初で最後。自転車だと乗る機会を逸してしまうんです。ちょっと残念。
ということで、しっかりその風情を味わうべく観察しました。そこまで古い車両ではないので、車内はまだまだきれい。でもどことなくレトロ感が漂います。
その昔、京都の人はこの窓から二条城や八坂神社を眺めながら通勤・通学していたのでしょう。
現在は広島の人が、原爆ドームに市民球場を眺めながら通勤・通学しています。場所は変われど市民に愛されながら走る姿に敬服。
車内や車外には、この車両が京都から移籍してきたものであることを示すプレートが。元大阪市電の車両にも取り付けられていました。言わばちんちん電車の履歴書です。これは他ではあまり見ない、広電の心意気。
ふらつきながらも無事にホテルへ帰還。大浴場で酔いを醒ましたあと、文字通りバタンキューでした。これだから一人旅はやめられない。
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