ホテルで一息入れ、早速博多の街へ。実は博多も初めて訪れる場所。どんな街なのかと今からワクワクしていしまいます。
ホテルを出ると、すぐ近くにこんな立派なレンガ造りの建物が。福岡市赤煉瓦文化館というそうで、日本生命の支社として使われていた建物だそう。
どこかで見覚えのあるような、と思ったら、やはり東京駅を設計した辰野金吾の設計だそう。重厚感のある外観が、ライトアップにより更に威厳を増しています。
広い歩道を歩いていると、早速屋台のおでまし。これだよこれ!博多に来たら絶対これを見たかった。小さい頃からテレビの中の世界だったこの光景を、今自分が目の当たりにしている。博多に来たことを強く実感した瞬間です。
選択肢が多すぎてどれを食べようかと悩んでしまう博多グルメ。そんな中ここ!と選んだのは『博多華味鳥中洲本店』。博多名物水炊きのお店です。
先ずは小鉢2品。左側の灰色掛かったものはおきゅうと。海藻を固めたもので、以前からスーパーで見かけるもののどうやって食べるのか分からないと思っていた食材でした。
塊のものを薄くスライスし、酢醤油が掛けられています。一口食べてみると、絶妙なつるりとした食感とほんのり海藻風味。これ、見た目以上に美味しい♪
お隣は自家製明太子。辛さや塩分が丁度よく、しっかりと漬け込みのだしの味が浸みています。日本酒、いっちゃうなぁ。
続いて親鳥のたたきと鶏ハム。たたきはこりこりとした弾力としっかり炙った香ばしさが美味。添えられたゆず胡椒やにんにくを付ければ更に旨味がアップします。
鶏ハムはしっとりと凝縮された食感。淡白ながらギュッと詰まった旨味をじっくり味わえば、またまた日本酒が進むこと請け合いです。
そしていよいよ登場、博多水炊き。最初は骨の付いたぶつ切りのみがスープに入った状態で運ばれてきます。こちらはお鍋は中居さんが給仕してくれるため、初心者でも安心。
先ずは湯のみに粗塩とねぎを入れ、スープだけを楽しむのが博多流だそう。出されたスープを一口飲んでみると、びっっっくりする程の鶏!!加減。
見た目にはそれほど白濁していないように見えましたが、ひと口含むと口一杯にニワトリが溢れてきます。こんな鶏がらスープ、初めて。旨い!旨すぎる!
スープはいくら飲んでも良いそうで、足りなくなったら注ぎ足してくれます。もうスープだけで満腹になってもいいくらい。
と言っても、やっぱり水炊きの主役は鶏肉。煮込まれたぶつ切りはほろほろと崩れる柔らかな食感。煮込まない切り身はジューシーで弾力のある美味しさで、つくねは噛むと中から吸った絶品スープが溢れてきます。
そしてビックリしたのが、レバーを入れるということ。水炊きというシンプルな料理にレバーなんて発想は全くなかったので、レバ臭くないのかなぁ、なんて思いつつ食べてみるとこれまたバッチリ。
レバーを含め鶏の美味しさは、自社で育てた鶏だから出せるものなのでしょう。スープに負けない強い旨味を持っています。
そんな美味しいスープと鶏の風味を壊さず引き立てているのが独特なポン酢。果実味溢れるポン酢というよりは、酢をベースにしたあっさり系のポン酢。それでいて独特の酢臭さは無く、これは家では真似できない味。
だいぶ前、テレビで存在を知って以来ずっと食べてみたかった博多水炊き。東京の水炊きのイメージとはかけ離れた姿に、ずっと思いを寄せていました。
そしてテレビで作り方を知ってからというもの、我が家の水炊きは白濁鶏がらスープの水炊きがずっと食卓に上っています。自画自賛ですが、かなりいい具合のスープが仕上がり、満足していました。この日までは。
でも、本場の水炊きを初めて口にし、自作のものは似て非なるものだと思い知らされました。ドロっとしていないのに、あっさりしているのに、鶏臭くないのに、何でこんなに鶏なの!?と衝撃を受けたこのスープ。これは自分では出せない味。まさに専門店ならではの美味しさです。
もうその鶏感にすっかり洗脳され、東京へ帰ってから華味鳥の出す鍋スープを使って水炊きをしてみましたが、やっぱりお店のものとは違う。これを食べたければお店に行け!ということなのでしょうね。
〆の雑炊まで完食し、絶品スープを余すことなく味わい尽くし大満足。重たいお腹を抱え、大満足でお店を後にします。
丁度一次会が終わった位の時間帯。さすがは九州一の繁華街と言われる天神・中洲。明るい看板と出来上がったおじさんたちの活気が街を賑わせます。
ここからしばし、中洲散歩。水炊きで火照った体を冬の夜風が落ち着けてくれます。広い川幅の両側に並ぶネオン。その光が川面へと伸びる姿に、これまで訪れた街とも違う味わいを感じます。
焼酎や明太子の電飾看板の並ぶ川沿い。九州ならではの看板を眺めつつ、今夜が最後だというちょっとした寂しさを噛み締めます。
そんな感傷に浸っているのも束の間、川沿いにいくつもの屋台が並ぶエリアに突入。提灯と障子から漏れる光が何とも温かいこと。
連なる屋台と夜景を映す川面。その間には大勢の人がそぞろ歩く姿が。近代的な繁華街と屋台が何の違和感もなく共存している街、中洲。この雰囲気を味わえただけでも博多に来た甲斐があるというもの。
今一度、夜の中州を振り返ります。本当なら屋台の一軒や二軒、覗いてみたかったのですが、水炊きのスープの旨さにすっかり満腹になってしまったので今夜は断念。こりゃ次博多に来るときは連泊だな。帰る前から次の宿題を残してきてしまいました。
初めて尽くしの九州旅行も明日で終わり。今夜この時間がいつまでも続けばいいのに。そう思うとなかなか寝る気にはなれず、ホテルに戻ってから晩酌タイム。
お供にと選んだのは、福岡は八女の喜多屋、寒山水純米吟醸。すっきりとした香りと飲み口の辛口のお酒。窓の外の夜景をつまみに、ちびちび、ちびちび。
相方さんはすっかりお休みモード。でも、明日はもう新幹線で帰るだけだし、と思い、もう1本開けることに。
九州へ来てからというもの、すっかり焼酎マイブームが再燃したため、締めのお酒も焼酎に決定。熊本は人吉の米焼酎、繊月をちびちびとじっくり味わいます。
九州で過ごす最後の夜。この旅で初めて出会った、美味、美食、絶景、美湯。その全てに思いを馳せ、焼酎と共に胸に刻み込むのでした。
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