この旅2つ目の目的地、別府に到着。別府は卒業旅行のバスツアーで海地獄を見ただけで、温泉に入ったことも温泉街を散策したこともないという、ほぼ初めての街。温泉好きとしてはずっと来たかっただけに、期待は大きく膨らみます。
湯の街別府というだけあり、駅を出ると早速手湯がお出迎え。単純泉が掛け流されていますが、季節柄なのかぬる~くて手は浸けてはいられませんでした。が、単純温泉ながら湯だまりに染みついた良い色が、別府のお湯への期待感を高めてくれます。
こちらの銀行にまで手湯が設置されていました。やはり微妙な温度なので眺めて楽しみました。さすがは湧出量日本一の湯の街。いろいろなところで温泉に関連した施設を目にします。
この洋館のような建物も、そんな温泉施設のひとつ。駅前高等温泉というこの施設は大正時代に建てられた現役の温泉で、日帰り入浴の他に宿泊もできるそう。そのお値段、個室でもなんと2500円!
こんなところに泊まり、昼は別府八湯巡りに夜は酒場巡り、なんていうのも別府の楽しみ方のひとつかもしれません。今回は時間の都合で訪れることは出来ませんでしたが、大正ロマンを感じさせるお湯を体験してみたいものです。
海沿いの国道へ出ると、目の前にレトロなタワーがおでまし。国の登録有形文化財に指定されたこの別府タワーは、名古屋や札幌のテレビ塔、通天閣、東京タワーを設計した「塔博士」が手掛けたものだそうで、「タワー6兄弟」のひとり。完成は1957年、ということは東京タワーよりお兄ちゃんだ!!
僕は自分の無知さを本当に恥ずかしく思っております(涙)札幌や名古屋のテレビ塔なんて、東京タワーの真似だとばかり思い込んでいました。兄弟だから仕方ないとはいえ、東京タワーの方がパクリ、だった訳です。あぁ恥ずかしい・・・。
東京タワーは、塔博士が手掛けたタワー6兄弟の5男だったんですよね。札幌テレビ塔でその事実を初めて知って以来、各地のタワーにごめんなさいという気持ちでいっぱいです。札幌テレビ父さんにも顔向けできません。
タワー6兄弟の中でも、どちらかといえば通天閣寄りの別府タワーに別れを告げ、別府の海を見てみることに。
いまいちパッとしない空模様ですが、それでも温かさを感じさせるような海の色に、今が2月であることを忘れてしまいそう。淡路も瀬戸内も、そしてここも、西の海は温かく柔らかい色をしています。
海沿いをのんびり歩き、今宵の宿である『西鉄リゾートイン別府』に到着。別府には2泊する予定のため、1泊目はこちらに泊まって夜の別府グルメを楽しむこととします。
こちらに決めたのは、なんといっても温泉があるという点。ビジネスホテルのお手軽価格で温泉大浴場があるとなれば、選ばない手はありません。
そして嬉しい露天風呂まで完備。循環式のため、ほのかに消毒の匂いがしますが、別府だから掛け流しが当たり前なのであって、普通の大型旅館やホテルと同等もしくはそれ以上のお湯といった感じ。ビジホのお値段でこのクオリティーは嬉しい限りです。
別府八湯のひとつである別府温泉の中でも、繁華街のすぐ近くに位置する西鉄リゾートイン。別府の街歩きに便利な立地です。
ホテルで一旦休憩し、別府の街へと繰り出します。いい意味で「昭和の観光地」の雰囲気を色濃く残すアーケード。地元の人も観光客も入り混じり、のんびり歩きます。
アーケードや路地をのんびり散策し、たどり着いたのが『竹瓦温泉』。玄関の唐破風が重厚な印象を与えるこの建物。70年以上の歴史を持ち、有形登録文化財に指定されているとのこと。
重ねてきた年月の重みを感じさせる看板や柱に映える赤いポスト。これでもかというほどレトロ感を感じさせる入口に、吸い込まれるようにして入ります。
温泉は所謂普通の大浴場の普通湯と、砂をかけてもらう砂湯に分かれています。砂湯は1000円ですが、普通湯は入浴料なんと100円。さすが湯の街、ありえないお値段です。維持費大丈夫なのかなぁ。
番台で入浴料を払って浴室へ。暖簾をくぐるとすぐ脱衣所が広がり、そこから見下ろす半地下の位置にこじんまりとしたタイル張りの湯船が設えられています。
お湯はホテルと同じナトリウム・カルシウム・マグネシウムー塩化物・炭酸水素塩泉ですが、同じ泉質とは思えないほど濃厚な色と浴感。少々熱めですが、ぐっとこらえて肩まで浸かればすぐさま体が慣れてきます。
長年地元の方や観光客に愛され続けてきたタイル張りの浴槽。温泉の成分でいい色に染まった湯船に浸かり高い天井を仰げば、おのずと深い息が漏れてきます。熱いながらも肌触りの良いお湯が体の芯へと向かう感触が、手に取るかのように感じられます。
濃厚なお湯と浴場の雰囲気に少々逆上せ気味の湯上り。火照った体を落ち着かせる空間がまたレトロ。木の鈍い輝きが心を照らしてくれるようなこのロビーでのんびりと過ごすひとときは、言葉では表しがたい魅力に溢れています。
初の別府の湯の魅力に触れ、大満足で歩く帰り道。冬の海風が火照った頬に心地よく、いつも以上にのんびり歩きたい気分。
時刻はちょうど夕方。夕飯の買い物をするおばちゃんの姿が見えるアーケードをゆっくり歩き、ホテルへと戻ります。
今夜はついに憧れの、銀色に光る関兄弟とご対面。今から期待を抑えることができず、思わずお腹が鳴ってしまうのでした。
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