ふぐに温泉にと大満足の夜を過ごし、飲み過ぎのちょっとだけ眠いお目覚め。それでも、旅先の朝の空気に触れると目がしゃきっとするから不思議なもの。
海と空を薄紫に染める太陽の気配。夜から朝へのグラデーションを具現化したような色彩に浮かぶ月を、時間も忘れて眺めます。
爽快な朝風呂を楽しみ部屋へと戻ってくるころには、すっかり太陽が姿を現していました。眩い朝日を浴びてオレンジ色に輝く海。
反対を向けば、朝日を浴びた山がやはりオレンジ色に光ります。青空に映えるその姿はまるで絵画のよう。何とも清々しい朝を迎えることができました。
朝の空気をいっぱい吸ってお腹が減ったところで朝食へ。大分名物の鶏天はサラダにアレンジされ、アツアツをさくっといただきます。
お刺身を漬けたりゅうきゅうも大分の郷土料理で、ごまの香りが食欲をそそりご飯が進むひと品。その他に焼き魚や玉子焼、豆腐などどれも美味しいものばかり。
コンロでぐつぐつと火に掛けられていたのは、味噌汁と思いきや大分名物だんご汁。野菜たっぷりの味噌仕立てのおつゆが体の中まで染みてきます。
美味しいお料理と源泉掛け流しの広いお風呂で楽しませてくれた黒田や。こちらは豊後牛を育てる肉屋さんが経営しているそう。今回のお料理も大満足だったので、次は豊後牛プランで訪れてみたい。また来たいと思える良いお宿に出会えました。
ふぐの感動の余韻を未だ引きずりつつ、黒田やを後にします。鉄輪温泉のバス停から『亀の井バス』に乗り、明礬温泉方面を目指します。
急坂を登るバスに揺られ、紺屋地獄バス停で下車。すぐ横に位置する『別府温泉保養ランド』へと入ります。
昭和の雰囲気を色濃く残すホテルのロビーへと入ると、これまた昔懐かしい雰囲気の観光ホテル。日帰り入浴の手続きを済ませ、早速お風呂へと向かいます。
混浴で多くのお客さんがいたためお風呂の写真は撮ることができませんでしたが、大きな露天風呂からはこのような眺め。大きなアーチ橋と青い空を眺めながら入るお風呂は開放感満点です。
そしてここのお風呂の最大の特徴は、泥湯であるということ。これまで経験したことのないほどの密度の高い泥が、浴槽の下に分厚く積もっています。
手触りはもっちり、滑らかで、陶芸で使う粘土のよう。それをすくって体に塗れば、まさに天然のパック。肌が途端にすべすべになります。
大きい混浴露天の他、内湯や小さい露天などもあり、それぞれ微妙に違う泥の質の差を楽しむことができます。特に小さい露天はねっとりとした泥が深く積もり、足を取られそうになるほど。ここ、おもしろい!!クセになりそうな温泉です。
これまで経験した中で最高濃度の泥湯にすっかりご機嫌。帰りは下り坂なので歩いて帰ることにしました。
2月だというのにすでに緑が芽生える畑の先には、青く光る海。ここだけはもう一足早い春が訪れたかのような朗らかな空気に包まれています。
と、歩き出してから新しい発見。2人して、何だか体が軽くなったよね、という実感が。何だか疲労の重さが抜けてすっきり爽快な気分。温泉に入って短時間でこれほど体が楽になったのは初めてです。恐るべし、別府温泉保養ランド。濃厚なお湯は、効果まで濃厚なのでした。
青空の下の散歩を楽しみ、再び鉄輪の街へと帰ってきました。別府滞在も残りわずか。この旅最後の温泉を楽しもうと、『ひょうたん温泉』に入ることに。
新しいきれいな建物ですが、歴史は古く大正11年から営業しているそう。古くはひょうたん型の展望台もあったそうで、昔からこの地で愛されてきた温泉です。
お湯はこちらもナトリウム塩化物泉ですが、黒田やのものよりさっぱりめ。鉄分が多いのか、湯船の周りが赤茶けています。
中には多くの浴槽がずらりと並び、色々なシチュエーションで源泉掛け流しのお湯を楽しむことができます。特に創業当時からあるという19本並んだ瀧湯は圧巻。これだけ浴槽があって更に瀧湯まで流せるほどの湯量の豊富さに驚きます。
ひょうたん温泉で最後の一浴を終え、別府駅へと向かいます。特急までの時間、高架下に続くべっぷ駅市場をぶらぶら。観光客相手ではなく地元のお客さん向けの市場には、美味しそうな魚やお惣菜が並んでいます。
レトロな雰囲気のべっぷ駅市場。時刻は夕刻よりちょっと手前。空間と時間が織り成す郷愁に、別府という地から離れたくないという思いがどんどん強くなります。
初めての別府滞在。2泊3日を過ごし、すっかりこの地の虜になってしまいました。さすがは日本一の湯の街。別府八湯のうちまだ3湯しか訪れていません。
明礬温泉の湯の花小屋も見てみたいし、外湯も廻ってみたい。いわゆる歓楽街の温泉というイメージを持って訪れた別府ですが、温泉好きにはたまらない天国だということを知ってしまいました。
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