東北の夏はいっぺんに来る。先ほどの豪華絢爛な山車が運行される八戸三社大祭ももうすぐ開催。駅のコンコースには大きな横断幕が設置されています。
八戸駅から『青い森鉄道』に乗車し、さらに北を目指します。この青い森鉄道は、東北新幹線ができるまでは東北本線だった路線。新幹線網の拡大により、各地にこのような第3セクターの鉄道が増えています。
八戸を出ると内陸部を走りますが、途中野辺地の先からは海沿いを走るように。あいにくの雨模様ですが、それでもやはり海の見える車窓はいいものです。
そしていよいよ今夜の宿のある浅虫温泉のシンボル、湯の島が見えてきます。さあここから僕の夏休みが始まる。期待に胸が膨らみ、到着が今か今かと待たれます。
八戸駅から青い森鉄道に揺られること約1時間10分、浅虫温泉駅に到着。新幹線開通以前は特急列車も停まった、青森の奥座敷の玄関口。
駅から雨の中歩くこと10分、今宵の宿である『浅虫さくら観光ホテル』に到着。浅虫温泉で一番海に近い宿というだけあり、本当に海に面した最高のロケーション。
チェックイン時に青森名産のりんごジュースをいただき、早速お部屋へ。今回は和洋室が用意されていました。
まだリニューアルしてそれほど時間が経っていないのか、きれいでおしゃれな落ち着いた雰囲気。ひとり旅で使わせてもらうにはもったいない広さです。
部屋に入るとまず目に入るのが、大きく取られた窓。あの立地でこの大きい窓といったら、それは素晴らしい眺めであることは間違いありません。
はやる気持ちを抑えつつブラインドを開けてみれば、目の前に広がる大海原と浅虫のシンボル、湯の島。もうこの眺めを独占できるというだけで、ここまで来た甲斐があるというもの。
さらに嬉しいのが、先ほどまで降っていた雨がやんだということ。次第に空の明るさが増していき、海の本来のきらめきが戻りつつあります。
早速浴衣に着替えて温泉へ。こちらのお風呂は3階にあり、もちろんオーシャンビュー。お湯に浸かりながら美しい陸奥湾と湯の島を心ゆくまで楽しめます。
そしてこちらが露天風呂。手前には青森ヒバでできた一人用の浴槽が2つあり、お湯と眺めを独り占め。海側には大きな湯船もあり、どこからでも雄大な海を望むことができます。
お湯は無色透明のナトリウムカルシウム‐硫酸塩塩化物泉。さらりとしたくせのないお湯ですが、とても温まり湯上がりはなかなか汗が引きません。
青森ヒバの香りを感じながらの湯浴み。熱くなったら湯船を出て、海からの爽快な風を全身に浴びる。あぁ、夏。五感で夏を思い切り感じます。
初めての浅虫の湯と眺めを満喫し、ビールを買って部屋へと戻ります。その途中で見つけた、かわいい金魚ねぶた。エレベーターが到着するとぴかぴかと光ります。
明後日にはこの本物に逢えるはず。すでに耳の奥ではやぁ~やど~の声が響き始めます。
部屋へと戻り、窓を開け放ちビールをごくり。これこそが至福の瞬間。うっすらと顔を出した太陽までが、僕を歓迎しているよう。
明けた窓からは涼しい海風と波の音が入り、エアコンを切ってその心地よさを味わいます。畳に寝転がって聴く潮騒の音。もうすっかり僕の夏休みスイッチが入ります。
心地良い火照りを感じる湯上りのひととき。波の声とビールに満たされ、これから始まる夏休みに期待を膨らませるのでした。
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