今回の平泉滞在は短時間。金色堂も捨てがたいのですが、どうしてもあの極楽浄土の景色が忘れられず、今回は毛越寺に目的を絞って訪れました。
生憎の雷雨で更に時間は短くなってしまいましたが、雨上がりの移り変わりにより、前回とは全く違った美しさで迎えてくれました。
今回は、雨上がりの浄土式庭園を、写真メインでお伝えしたいと思います。
すさまじい雷雨は収まったとはいえ、まだ雨は降り続いています。そんなお天気なので、境内も人はまばら。落ち着いた毛越寺を味わえそう。まずは本堂でお参りし、浄土式庭園へと向かいます。
雨に濡れ、色を濃くした苔に縁どられた大泉が池。
雨に打たれてさざ波のたつ大泉が池は、春に訪れた前回とは全く違った印象に。鉛色の空を映すその水面は、雨の強弱により刻一刻と姿を変えます。
夏真っ盛りというのに、早くも色付く紅葉。背後の勢いのある緑との対比が美しい。
大きな花弁に雨粒をはじかせる蓮の花。雨がその色を一層鮮やかに引き立たせます。
園内を1/4ほど進んだところで、空に明るさが感じられるように。雨がやむのももう間もなくです。
程なくして雨はすっかりやみ、空には陽射しが戻りました。草に載る雨粒の一つひとつが、眩しくきらきらと輝きます。
夏の勢いを感じさせる芝生と玉石の対比が、美しい渚を連想させます。
洗濯された空から降り注ぐ太陽を受け、鮮やかさを増す芝生。その中を勢いよく流れる曲水も、陽の光を受けてきらめきを放ちます。
先ほどの雨は川となって曲水を流れ、大泉が池を潤します。雨も自然の恵みのひとつ。雨上がりには自然が元気になり一斉に輝き始めます。
すっかり戻った夏空と、濃い色が印象的な芝。
木陰へと入れば、まだ涼しさと雨の匂いが残っています。すでに暑さを取り戻した夏の空気の中で、一服の清涼を楽しみます。
夏真っ盛りの毛越寺は、様々な緑の鮮やかさを教えてくれます。雨に洗い流され、草木はみんな喜んでいるかのよう。
大泉が池はすっかり平穏を取戻し、水面に東北の山を映します。見る場所でその姿を変える大泉が池。場所のみならず、天候の変化まで映し出す、人が造った自然の鏡。
短いながらも変化に富んだ美しさで楽しませてくれた極楽浄土。一周して最初の地点に戻ると、同じ場所なのに全く違う印象に驚かされます。
東北の自然に包まれた極楽浄土。その東北の夏の匂いを思い切り吸い込み、僕の夏の想い出として胸へと仕舞います。
来たときには雨に強く打たれていた足元の苔も、水を得て元気さを増したよう。雨は色々なものを洗い流し、元気を与える命の源。
猛烈な雷雨により一旦諦めかけた毛越寺。雨が降ったからこその変化に富んだ美しさを存分に楽しみ、極楽浄土を後にします。
すっかり夏らしさが戻った平泉の街並みは、鮮やか過ぎる空の青さと草木の緑に包まれます。
前回の桜咲く季節もきれいでしたが、この力みなぎる夏の景色も最高に美しい。それならば、秋の紅葉も、冬の雪景色もと、僕の心には煩悩が増えるばかりなのでした。
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