田んぼアート第2会場から無料のワンボックスシャトルバスに乗り、天守閣が目立つ田舎館村役場に到着。こここそが、田んぼアートのメイン会場。
さあどんな景色が待っているのか早く見たい!と受付へ行ったところ、何とこの日は3時間待ち。16時からの整理券を受け取り、一旦役場を離れます。
時刻は昼過ぎ、一日の中でも一番暑い時間帯。ひとまずこの酷暑の中の3時間をどうやり過ごそうかと途方に暮れていると、役場の向かい側に田んぼアート商店街なる臨時の商店街を発見。
中へ入ってみると、ラーメンなどの食事やかき氷やソフトクリームなど暑い夏に嬉しいデザートのお店が並んでいます。そこで僕が見つけたのが、このりんごシャーベット。青森に来たらやっぱりりんごです。
下の白い部分がりんごのシャーベットで、甘さ控えめのりんごの風味が爽やか。その上に粗く切ってさっと煮られたりんごの果肉が載っており、シャリシャリとした食感を楽しめます。
その後、役場の隣にある公会堂でひたすら待ち続け、やっと整理券に書かれた入場時間に。入口で入場券を買い、やっとの思いで展望台に到着。待った待った、暑い暑い。
暑さで参った体を、上空を抜ける風が撫でてゆきます。やっぱり高いところは涼しい。そう思いながら進んでいくと、やっとのことで田んぼアートとご対面。
そのスケールと絵の迫力は、やっぱり第2会場とは比べ物にならない凄さ。大きな田んぼ一面に何種もの稲が緻密に植えられ、一枚の大きな絵を形づくっています。
この周辺で一番高いこの展望台からの眺めは、まさに爽快のひと言。田んぼアートの先には、夏空に浮かぶ雲と黒く横たわる八甲田の山並み。
そして再び下へと目を戻せば、風に吹かれてしなやかに揺れる稲。その光景は、僕の心に強烈な夏の爪痕を残すほどの、鮮烈な美しさ。
優雅に舞う天女の隣には、僕の大好きな雄大な富士が描かれています。全てが稲だけで作られているとは思えないこのクオリティー。
この展望台の回廊は、ひと1人が通れる程度の狭さ。きっと田んぼアートがここまで人気になるとは想定していなかったのでしょう。
登るのに待って、いざ順番が来たと思えば、長時間立ち止まることはできずに流れに乗りつつ田んぼアートと景色を楽しむ。そんな状態なので、すぐ見られるだろうという安易な気持ちで行ってはいけません。この日の僕がまさにそうでした。
が、僕にとっては、3時間待ち以上の価値があった、この眺め。田んぼアートの美しさもさることながら、この美しさを手植えで作り上げた人達の労力や、青森の美しい田園風景が、僕の心に青森の夏を焼き付けてくれました。
帰りも送迎バスに乗り、田んぼアート駅まで向かいます。その道中、運転手さん曰く今が一番の見頃だそう。稲の葉が元気にピンと伸びるこの時期が、一番色も形も良く見えるとのこと。どうりでこんなに混んでいるはずだ。それでも一番いい時期に見られたことを嬉しく思います。
時刻はもう夕方。遮る物の無い、容赦ない西日攻撃の中で電車を待つこと30分、鉄路の音を響かせて電車が到着。
小さな2両編成の弘南鉄道と、雄大な津軽富士。夏。青森の夏。東北の夏。僕はこんな小さな瞬間に、いちいち心を動かされてしまうのです。
東北は、春夏秋冬いつ来ても、僕の想いを裏切りません。暑ければその暑さを楽しめばいい。心の底から、夏を楽しむ一日なのでした。
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