感動大陸、東北の夏。~僕の灼熱七日間 6日目 ②~ | 旅は未知連れ酔わな酒

感動大陸、東北の夏。~僕の灼熱七日間 6日目 ②~

国道から瀬見温泉喜至楼を望む 旅の宿

ホッとする美味しさのラーメンでお腹も満足し、再び瀬見温泉駅方面へと歩き始めます。小国川の対岸に見える瀬見温泉の街並みの中で、大きな赤い屋根の喜至楼が見え隠れ。温泉街の中で一番の存在感を放っています。

陸羽東線歴史を感じる石積みの橋台とガーダー橋

陸羽東線と並走する国道。左を見れば、歴史を感じさせる石造りの立派な橋台と、それに架かる小さな青いガーダー橋。茂る緑と単線の鉄路との対比は、まるでジオラマを見ているかのよう。

夏の瀬見温泉キバナコスモス

瀬見温泉駅前までたどり着き、昨日来た道へと曲がって宿を目指します。途中には、昨日の鬼百合に続いてオレンジが眩しいキバナコスモスを発見。こんなちょっとした美しさに気付けるのも、いい意味で時間を持て余す連泊ならではの楽しみ。

山形の清流小国川と釣り人

夏空の下さらさらと流れる小国川。ここにも釣り人の姿が。この時期、きっと美味しい鮎が釣れるのでしょう。釣りのできるような性格ではありませんが、釣りたては食べてみたい。わがままな欲望が膨らみます。

インパクトの大きい瀬見温泉喜至楼外観

小さな瀬見の街をのんびり小一時間、昼の当てもない散歩もこれにて終了。増築を重ね独特の佇まいを見せる喜至楼が見えてきました。

駅からここへ来ると、この眺めが宿とのファーストコンタクト。好きな人には堪りませんが、何も知らずに予約した人だと、ちょっとひるんでしまうかも。そんな部分も含めてこのお宿の持つ個性なんだと、一晩過ごした僕はご満悦。

瀬見温泉喜至楼看板犬の可愛い白いわんこ

玄関前には、目をつぶりおとなしくしている白いわんこが。この宿の看板犬なのでしょう、玄関の外に居たり中にいたり。いつでもおとなしくのんびりとしていました。

瀬見温泉喜至楼台所

可愛いわんこをなでなでして自室へと戻ります。その途中、昨日は気付かなかった台所を発見。簡単な調理道具や食器がそろっているので、ちょっとした自炊が出来そうです。ここでしばらく湯治をしたら・・・。いやいや、大沢温泉に引き続き、悪い妄想をするところでした。

瀬見温泉喜至楼すりガラスに浮かぶ鯉の滝登りのシルエット

部屋の前まで来てみると、光の加減で鯉の滝登りの装飾が、ハッと息を呑むようなきれいなシルエットで浮かび上がっていました。部屋からも、そして廊下からでも美しい。本当にこのお宿には、妖しい美しさが随所随所にちりばめられています。

瀬見温泉喜至楼アスパラや野菜のごま和え

お風呂に入ったり、本を読んだり、寝転んだりと、ぐうたら幸せな温泉宿での午後。そんな贅沢な時間はあっという間に過ぎ、もう夕食の時間に。

茹でアスパラやホウレン草とにんじんの胡麻和え、白身魚の粕漬けなど、昨日の内容とはガラッと変わり、今夜は家庭の味を思わせる品々が並びます。

瀬見温泉喜至楼お刺身と揚げ魚の野菜あんかけ

こちらには、いかとえびのお刺身に、揚げ魚の野菜あんかけ。どれも手作りの美味しさが滲み、夏休みの合宿に来ているかのような錯覚を覚えます。

瀬見温泉喜至楼昭和レトロダンスホールにも使われた食事会場

そんな懐かしさを覚えさせる理由のひとつが、今宵の食事会場。昨晩は木の温もりに包まれた立派な和室を独り占めでしたが、今夜はダンスホールにも使われたという、昭和の香りプンプンのホールが夕食会場となっています。

瀬見温泉喜至楼昭和レトロなソース差し

長い昭和の中でも、きっと戦後それほど経っていないであろう時期に建てられたと思われる、このホール。窓の外にはまだまだ明るい瀬見の街。そして視線をずらせば、こんなレトロなソース差し。敢えてわざわざ感が無く、こういうものが残されている。本当に堪りません。

瀬見温泉喜至楼カニやいか明太海老フライに唐揚げ

献立の続きをご紹介。かにやいか明太、唐揚げに海老フライが並び、結構なボリューム。昨日とは、料理も部屋も雰囲気が一変し、連泊でも飽きないよう工夫がされています。

瀬見温泉喜至楼別注の芋煮汁

そして今夜も注文していた、別注料理。今日は山形名物、芋煮汁を頼みました。煮汁には、たっぷりと入ったお肉の旨味が溶け込み、ねっとりとした舌触りの里芋にしっかりと染みています。濃すぎず薄すぎず、甘さも丁度いい具合の味付け。文字通り郷土の味といったホッとする美味しさ。

通常のメニューでもボリューム満点だった今夜の食事。追加の芋煮までしっかりと平らげ、もうお腹はパンパン。部屋へと戻り、蜩の声を聴きながらのんびりごろごろと食後のひと時を過ごします。

お腹が落ち着いたところで、いつも通りのお湯とお酒と本を愉しむ夜に突入。いつもなら写真を撮りながら過ごすところですが、今夜はカメラを手放し体ひとつで味わうことに。

欲張らずに静かに過ごす夜。お酒も昨日の残りだけ。珍しくそんなおとなしい夜を過ごさせてくれたのは、ここ喜至楼に詰まった不思議な魅力のおかげかもしれません。

あれもこれもと考えたり、酔ってしまうのがもったいない。残り一夜となったこの宿、そしてこの旅を静かに味わう。そんな夜があってもいいじゃないかと初めての感覚が芽生えた、そんな夜を過ごすのでした。

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感動大陸、東北の夏。~僕の灼熱七日間~

夏の日差しを浴び元気に育つ稲の穂
2014.7-8 宮城/岩手/青森/山形

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