自分史上最長、10泊11日の旅。出発前はどれだけ長い旅になるのだろうと思っていたものの、実際に過ごしてみるとあっという間。もう最後の朝を迎えてしまいました。
八幡平の懐から始まり、そして三陸へ。この旅の最後の朝を彩るように、太平洋を覆う空は、きれいな朝のグラデーションに染められています。
昨日の夕食に引き続き、こちらのお宿は朝食も美味しい。バイキングですが品数も多く、海藻や海の幸のご飯の供など、三陸にいることを感じさせてくれる内容もまた嬉しいところ。
色々なおかずに迷いながらも、いかの麹漬けや海藻の佃煮、たらこやかつおの角煮など、ご飯に合いそうな海の幸を選択。本当にこういう時、大食漢だったらなぁ、と思うのです。
朝には掛かっていた雲もどこかへ行ってしまい、すっかり気持ち良く晴れました。三陸の大海原は、そんな秋晴れの空と競うかのように、今日も青く輝きます。
この眺めとも、もうしばらくはお別れ。窓を開け放ち、全身で海風を感じ、この海の綺麗さを焼き付けます。
美味しい料理ととびきりの景色を堪能させてくれたグリーンピア三陸みやこ。再訪しなければならない宿がまたひとつ、増えてしまいました。
ホテル前のバス停から『岩手県北バス』小本駅前行きに乗車し、乗り換え地点である小本駅を目指します。
バスに揺られること30分、三陸鉄道は小本駅に到着。こちらもだいぶ被害があったようですが、この時には新しい駅ビルも建てられ、内装工事の真っ最中でした。
バスをのんびり待っていると、カタン、コトン、とゆったりとしたリズムを従え、単行の三鉄が小本駅に到着。しばらくは、三陸鉄道ともお別れ。日本の鉄道の風景を凝縮したかのような列車旅を楽しませてくれた三鉄を、もう一度この眼に胸に焼き付けます。
発車する列車のエンジン音に名残を惜しみつつ、静かな時間の中バスを待ちます。そこへ大きな観光バスが到着。岩手県北バスの岩泉消防署前行きに乗車し、この旅最後の目的地を目指します。
バスは海に背を向け西へと舵を取り、どんどん山の方へと進みます。
3日間、その美しさに魅了された三陸海岸。後ろ髪を引かれる思いで、揺られるバスに身を任せます。本当に綺麗だった。本当に雄大だった。本当に、ただただ、美しかった。三陸海岸を訪れることができて、本当に良かった。
三陸への再訪の願いを胸にしまい、この旅最後の目的地を楽しむこととします。小本駅から30分、岩泉中学校で途中下車。僕が訪れた時は、平日のこの時間帯はバスが龍泉洞まで行かなかったため、こちらが最寄りの停留場でした。今は日中は龍泉洞経由で運行している模様です。
両側に迫りくる紅葉に彩られた山々。その山肌には所どころ石灰質であろう白い岩肌が見て取れ、その山体に鍾乳洞を抱いていることを感じさせます。
中学校から歩くこと15分程、道路の脇から渓谷へと下りる遊歩道を発見。車道を離れ、紅葉に包まれた渓谷沿いを歩くことにします。
するとそこには、見るからに澄んだ清らかな水が、圧倒的な水量を以って勢いよく流れています。車道では多少汗ばむくらいの気温でしたが、ここへ来ると明らかに温度が違う。そして何より空気が違う。この青く澄んだ水のような美味しい空気に、渓谷全体が包まれています。
車道から一段下りると別世界。心地よい水と空気と紅葉に抱かれ、ものすごく気持ちの良い散策。渓谷を流れる川は、この先に待ち構える龍泉洞から流れ出たもの。手に取るように感じるその清冽さに、龍泉洞への期待が一気に膨らむのでした。
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