盛岡近郊で過ごした8日間も今日で終わり。ここ盛岡駅から、かわいい小さな単行のディーゼルカーで三陸海岸を目指します。
今回乗車するのは、快速リアス宮古行き。いつも見慣れた、乗り慣れたキハ110ですが、列車名が与えられると、これから向かう先の光景が目に浮かぶようで、俄然旅情が増してくるから不思議なもの。
列車は盛岡駅を出発し、進路を西へと向けて走ります。市街地だった風景も、気が付けば山の懐へと差し掛かり、木々の秋の装いが車窓を流れてゆきます。
以前釜石線に乗った時も感じたことですが、驚くのは、岩手の内陸と沿岸を隔てる北上山地の山深さ。
東北といえば奥羽山脈のイメージがとても強いので、北上山地は名前は知っている、程度の認識でした。ですが、こうして鉄路で越えようとすると、意外にも険しいみちのりであることを、列車の速度とディーゼルの唸りが教えてくれます。
列車は度重なるカーブと勾配を慎重に渡るようにして越え、一番険しい部分を抜けて穏やかにのんびりと走ります。単行ならではの、ガタン、ゴトンというリズム。床下のエンジンのアイドリングも相俟って、秋の車窓での午睡へと誘われてしまいます。
落ちては醒めてを繰り返しつつ、快速リアスに揺られること2時間。初めての宮古駅に降り立ちます。さあこれから3泊、初めての三陸滞在を存分に楽しむことにします。
初の三陸の夜を愉しむめ、今夜はビジネスホテルに滞在し、夜の街へ繰り出すことにします。そんな宮古での宿に選んだのは、『ホテル宮古ヒルズステーション店』。駅から近いという立地の他に、このホテルを選んだ理由がもうひとつ。
その理由とは、このカプセルフロア。普通のシングルと比べ、かなりお安く泊まれます。この旅で一番長く滞在する大沢温泉は、湯治の素泊まりで驚くほどの安さ。とはいえ、交通費や毎日のかさむ酒代、そして他の旅館の宿泊費も考えると、締めるところは締めたいところ。
初めてのカプセルタイプということもあり、少々不安もありましたが、いざ泊まってみると快適快適。天井に隙間があるので少々の声や目覚ましの音などは仕方ありませんが、気にしようと思わなければ気にならないレベル。ロッカーや机等もあり、アメニティーも完備。
ベッドは普通の部屋と同じマットレスを使っているので、寝心地も全く遜色ありません。アコーディオンカーテンを閉めれば、個室と思って差し支えないほど。更にこのホテルには新しくきれいな大浴場もあり、カプセルフロアで充分すぎるほど。もともと小ぢんまりした空間が好きな僕にとっては、安くて快適と一石二鳥の宿でした。
江戸時代からの湯治場から一転、この旅初のビジネスホテル、それもカプセルタイプ初体験。ここで節約した分、今宵は宮古の酒に溺れるぞ!!そう意気込み、荷物を下ろしてホテルを出るのでした。
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