堀内から三陸鉄道に揺られること約30分、北リアス線の終点である久慈駅に到着。ここでのんびり散策とお昼ご飯を楽しむことにします。
駅で周辺の観光地図をもらい、気の向くままぷらぷら散歩。秋晴れの空の下では、そんな当てもない時間を過ごすのも気持ちが良いもの。
地図を見ると、駅の近くに巽山公園というのを発見。どうやら眺めが良さそうなので、まずはそこへ行ってみることに。
急な階段を上がると、巽山稲荷神社の立派な赤鳥居が出迎えてくれます。そしてその小高い山からはこの素晴らしい眺め。澄んだ空の下広がる久慈の街並みと、遠くには海も望むことができます。
公園を囲むようにたくさんの桜が植えられ、この時期はきれいな桜紅葉に包まれています。この様子だと、春もきっときれいなはず。どこまでも穏やかな雰囲気に包まれる公園に、何だか気持ちまでゆったりしてくるよう。
公園をぐるっと一回りし、お稲荷様にお参り。赤い鳥居に負けず劣らず深く紅葉したもみじが、秋の深まりを感じさせます。
巽山公園を後にし、再び街を歩きます。大通りもあれば、人々の暮らしに溶け込むようなこんな街並みも。初めて訪れる久慈ですが、何となく懐かしさを感じます。
続いて訪れたのは、『道の駅くじ やませ土風館』。道の駅にしては珍しく駅から近い街中にあるため、鉄道利用でも気軽に訪れることができます。
2つに分かれた建物はそれぞれ土の館、風の館と名付けられ、土の館には、琥珀をはじめとする久慈や三陸の名産品がたくさん売られています。海藻や野菜、お酒。地場産のものを見ていると、6泊過ごしたというのに、また自炊湯治がしたくなってくる。非常にまずい傾向です。
観光客や地元の方で非常に賑わう土の館を後にし、隣の風の館に併設された『地場食材レストラン山海里』でお昼を食べることに。
ここもお隣と同じく賑わっており、僕が席に着いて程なくして満席に。スムーズに入れて良かった。1人だと、どうしても混み合ったお店は遠慮しがちなのです。
冷えたビール片手に待っていると、お待ちかねの鮭といくらの親子丼が到着。
え?っと、二度見、三度見、いや、五度見くらいしたでしょうか。これ、確か1,000円位だったはず・・・。どう見ても、普通のお店と、親子の比率、逆、ですよね?こういうとき、じぇじぇじぇって、言ったほうがいいの?
嬉しい誤算に浮かれつつ早速ひと口。はっきり言って、僕がこれまで食べた「いくら」(筋子は別モノだから含みません。筋子、好き!)の中で、一番美味しい!
というのも、これがいくらの嫌な生臭さの無い、美味しく漬けられた塩いくらだったから。最近はいくらも筋子も醤油漬けを多く見ますが、醤油漬けは下手をすると生臭くなりがち。
特に粒の大きいいくらは、噛んだ時に弾ける臭さがあまり好きになれず、どうしても筋子の方ばかり食べてきました。でもこの塩いくらは本当に丁度良い濃さの漬け方。
臭みが出ない程度のきちんとした塩分。しょう油を追加せずご飯とこれだけで丁度良い塩梅。でも、しょっぱすぎない。粒の硬さも硬すぎず柔らかすぎずの、丁度良い食感。いやぁ、思いがけず大満足。これを食べただけでも、久慈に来た甲斐がありました。
あの味とボリュームで1,000円かぁ。他の海鮮丼系のメニューが結構なお値段がするなかで、自分の中でのベストな選択に、味覚も気持ちも満たされます。
満足感に包まれつつレストランを出ると、隣にはとても大きい山車が。久慈の秋祭りに使われるというこの豪華絢爛な山車がいくつも練り歩く姿は、それは壮観なことでしょう。
新庄駅で見た山車もそうでしたが、自分の知らない大きなお祭りが、各地にたくさんあります。そんなことをこうして知ることができるのも、旅の楽しみのひとつ。
立派な親子丼と立派な山車を楽しんだ道の駅を後にし、再びのんびり食後の散歩。途中には、山車をしまうであろう大きな小屋が。ふと、弘前で初めてねぷた小屋に出会ったときのことを思い出します。
こうして大切にされてきたお祭りなのだから、きっと素晴らしいんだろう。そう思うと、今度はお祭りの時期に合わせて来てみたい。
久慈の駅周辺をぐるりと回り、駅へと戻ってきました。三陸鉄道のホームの向かい、JR八戸線のホームには、八戸からやってきたTOHOKU EMOTIONが停まっています。
中はレストランになっている、TOHOKU EMOTION。新幹線で八戸入りして、八戸でたらふく飲んで、翌日にこの列車で三陸入りするのも・・・。そんな妄想を膨らませながら、この旅最後の三陸鉄道の列車を待つのでした。
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