雰囲気の良い横丁で飲むという妄想に触発された僕は、ここで生ビールをゲット!初めての仙台七夕祭りに圧倒され、飲むことをすっかり忘れてしまっていた僕ですが、ついにここで燃料補給。熱い夏に熱い祭り、そこにはビールが欠かせない。
冷たいビールでクールダウンどころか、一層熱い気分に盛り上がる仙台での夕べ。揺れる吹き流しと人々の賑わいが仙台の夏を彩る姿に、一層仙台を好きになってしまいます。
ついつい華やかな吹き流しにばかり目を奪われがちですが、下の方には紙衣などのまた違った飾りも付けられています。
黄色い可愛い紙衣には、僕の好きなむすび丸。やまびこの車内、むすび丸から始まったこの旅も間もなく終わり。むすび丸、今回も楽しい旅をありがとう。
豪華絢爛な飾りが連なる仙台七夕。その姿はまさに百花繚乱。伊達政宗公が作った仙台は、今もなお美しい都市で在り続けています。
ビールでお祭り気分が一層高まったところで、お気に入りの笹かまメーカー、鐘崎の露店を発見。笹かまとおかわりのビールを買い込み、舌鼓を打ちつつ華やかな街を歩きます。
ほろ酔い気分で歩く七夕祭り。目くるめく色彩の洪水に、もうどうにかなってしまいそう。幸せだ。幸せすぎる。最後の最後まで東北の夏に触れ合えるなんて。この夜がずっと続けば。そう思わずにいられません。
一つとして同じものが無い、そう思えるほど多種多様な飾りに彩られる吹き流し。同じ道を引き返しても新しい発見がある。繊細な手作りの飾りに、このお祭りに掛ける人々の想いが滲み出ます。
可愛いカエルの折り紙に見送られ、祭の賑わいを後にします。
仙台七夕の夜はこれから。続々と押し寄せる人の波に逆らい、駅を目指さなければならないこの寂しさ。東京に帰る。いや、絶対に仙台にまた帰ってきてやる。カエルの笑顔に、今一度そう強く誓うのでした。
今一度振り返り、この煌びやかな仙台を目に心に焼き付けます。
初めて訪れた、仙台七夕祭り。街全体が輝くその華やかさに、夏の夜に夢を見たかのような錯覚に襲われます。東北の夏、祭の夜。ねぷたに七夕、忘れられない熱い夜。
濃密。一言で表すならばそう言いたいこの旅も、まもなく終わり。最後に東北の味をと向かったのは、駅ビルの中のすし通りにある『すし 三陸前』。いつもうまい鮨勘にばかり行ってしまうので、たまには違うお店にと選んでみました。
駅直結という立地もあり、店内はほぼ満席。運良くカウンターに座ることができ、ここで心ゆくまで最後の東北の幸を堪能。ほやに岩がき、きちじにつぶ。海の幸と地酒の織り成す幸福に、時間いっぱい浸ります。
宮城から始まり、岩手、青森、山形と巡ったこの旅もこれで終わり。愛する東北ともしばしの別れ。夜に映える仙台駅に、名残惜しさも最高潮に。
遠くでは、七夕祭りに湧く人々賑やかな声。夏の東北で過ごした一週間が、僕にとっての、最高の祭りだった。
祭のあとには、必ず寂しさがついてくる。でももう嘆かない。僕には必ずここへ戻ってくるという自信がある。
何度も別れ、また再会してきた。僕はこの先もずっと、いつまでも東北に通おう。強い気持ちを胸にしまい、東京行きの新幹線に乗り込みます。
訪れるごとに好きになる。そんな東北をより身近な土地にしてくれる、新幹線。今回初めて、新型こまちE6系に乗車。
以前体験したE3系の激走。在来線と同じサイズの車両が疾走する様は、まさに小さな巨人。とても頑張っていました。そしてこまち号を次の時代へと進化させた、このE6系。
世界最速である時速320キロを、在来線サイズの車両が出す。その乗り心地とはいかに。続く加速に期待が膨らみます。
流れる車窓はどんどんと早くなり、長いホームもあっという間に通過してしまうほどのスピードに。世界最速で駈ける小さな巨人は、確実に驚くべき進化を遂げていました。
はやぶさでも感じた驚くほどの安定感は、在来線サイズのこの車両でも健在。あずさや踊り子と同じサイズの電車が320km/hで疾走する。それも、最速であることを微塵も感じさせないほどの安定感で。
過ぎ去る家々の灯りを眺め、その走りっぷりをつまみに最後の一杯を。澤乃泉を片手に、世界最速で東京へと連れ戻される感覚と闘います。
新幹線はものすごいスピードで駆け抜け、1時間半で僕を日常へと連れ帰りました。それでも、いつものような憂鬱はありません。もう心配ない。今まで何度も東北を訪れることができた。そのことが僕の支えになってくれているから。
常に生まれ変わり、進化を遂げ続ける新幹線。この存在が長距離列車や、それらにまつわる旅情を駆逐してしまっていることは否めない感があります。が、それでも僕は誇らしい。こんな新幹線が走るこの国に生まれたことが、誇らしい。
僕が初めて東北新幹線に乗ってからもうすぐ30年。山形新幹線や秋田新幹線も誕生し、目まぐるしい進化を遂げた新幹線は、ついに世界最速を奪還するまでになりました。
はつかりやはくつるなど、僕の思い出の列車が消えてゆく寂しさ。その寂しさを違う形、未来を思わせる希望で埋めてくれる、新幹線。好きな東北を近くしてくれた存在に、そしてその実現をさせた人々に心の底からありがとうと言いたい。
なぜか小さい頃から訪れる機会に恵まれてきた東北。子供の頃に味わった思い出は、東北への強い想いに成長しました。
2014年、世界で一番熱い夏を過ごした。僕は自信を持ってこの旅をそう締めくくりたい。三度目となったねぷたへの旅は、強烈な夏の陽射しのように、僕のこころをじりじりと焼いて過ぎ去りました。
訪れる度に新しい魅力を知り、訪れるごとに好きになる。僕にとっての東北は、感動の詰まった大陸そのもの。まだまだ未踏の地がたくさん。これからの長い人生を掛けて、腰を据えて付き合いたい。
いつも心にかけがえのない財産をくれる場所。そんな東北で過ごした33歳の夏休み。
夏の暑さのその訳を、少しだけ知ることができた。それが今回貰った、一番輝く宝物。その記憶が、再び僕の足を東北へと向かわせるのでした。
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