トヨタ産業技術記念館でメカ好き乗り物好きの心をくすぐられ、いよいよ名古屋を離れる時間に。記念館から名古屋駅まで歩き、名鉄百貨店の地下で今宵のアテを買い込みます。
名古屋から地下鉄で名港線の築地口駅まで移動し、そこから『名古屋市バス』のフェリーふ頭行きに乗車。このバスもドニチエコきっぷで乗れるので、今日1日で掛かった交通費はたったの600円。本当にお得なきっぷです。ちなみにこのフェリーふ頭行き、本数が少ないので乗り遅れ厳禁です。
築地口からバスに揺られること25分足らず、名古屋フェリー埠頭に到着。ここからまもなく念願の船旅が始まるかと思うと、もう居ても立っても居られない。だって、バスを降りる前から、巨大なフェリーが見えてるんだもん!!
逸る気持ちに身悶えしつつ、まずは乗船手続きを。今回は『太平洋フェリー』のネット予約を利用しました。
ここで乗船までの流れをざっと。チケットは旅行会社や電話でも予約できますが、インターネット利用が便利。予約からクレジット決済、乗船名簿の登録までを事前に済ませておくことができます。
そこまで済ませておけば、あとはターミナルのカウンターでカードを提示し乗船券を受け取るだけ。ちなみに電車やバスとは違い、この乗船手続きを出港の60分前までに行っておく必要があります。パッと行ってパッと乗れるわけではないので要注意。でもその時間的余裕も、船旅の魅力のひとつ。
乗船手続きの列に並んでいると、大きなフェリーの模型を発見。これだこれ!この船が今回乗船する、太平洋フェリーの誇る豪華フェリー、きそ。想い続けて十数年、眼前に迫るその瞬間に、もう心拍数は最高潮。
手続きを終えて2階へと上がり、いよいよ乗船口へ。そこに見えるのは、はるばる1300km以上もの大海原を越えて僕を北の大地へと連れて行ってくれる、太平洋フェリーの誇る巨大船きそ。
全長199.9m、幅27mという乗り物とは思えないサイズの巨体は、もうまるでビルのよう。こんな巨大建造物が海に浮かび、人々と車を運ぶなんて。この事実を考えるだけでも、船旅とは浪漫の塊。
巨大船の雄姿に圧倒され、長い長いボーディングブリッジを歩きいよいよ乗船。なんだよ、このワクワク感!乗ること自体が目的になってしまう。そんな乗り物、久しぶり!
出港まで1時間以上あるというにもかかわらず、船内はすでに乗船した人々で大賑わい。そんな活気と共に船客をを出迎えるのが、この豪奢な空間。3甲板分の吹き抜けが開放感を演出するロビーは、もう乗り物を超えてホテルのような雰囲気。こりゃぁ人気出るよ、当たり前だよ。
冒険心に火のついた僕は、続いて一つ上のフロアへ。ここにはソファーやテーブルが並び、飲食や読書など乗客が自由に使えるパブリックスペースとなっています。更に、左手の赤い壁の部分には大きなシアターが。ここでは映画の上映やコンサートが行われ、無料で楽しむことができます。
再び乗船口のあるフロアへと降り、売店やゲームセンターといった充実設備を横目に自室へ。ここがこれから2泊3日を過ごす僕の宿、B寝台。下から2つ目のグレードですが、そうとは思えない清潔感とシックでおしゃれなこの雰囲気。
B寝台は上下の二段構成ですが、鉄道車両のようにはしごを使って上り下り、なんてことはありません。下段は下段で向かい合わせ、上段は上段同士で階段を挟んで向かい合わせといったレイアウト。
寝台内には適度な寝心地のマットレスが敷かれ、電気にコンセント、小さな網棚、ハンガーが完備。ブース外には濡れたタオルが掛けられるようにとフックも用意され、安いながら至れり尽くせり。
寝台と外の仕切りはロールカーテンが使われ、閉めればもう個室も同然。ちなみに全閉してしまうと空調が入らず暑いので、ロールカーテンの閉め具合で室温を調整します。
B寝台は個室ではないため、鍵は掛かりません。となると心配なのが貴重品の管理。その点も、受付横にある暗証番号式の貴重品ロッカーにより解決。一度預ければ、下船まで継続して使えます。ちなみにこのときは仙台~苫小牧間で全て埋まっていたので、使う場合は乗船後すぐに確保したほうがいいかもしれません。
船内探検を終え、荷物も下ろしたところで旅の汗を流すことに。フェリーの醍醐味ともいえる大海原を眺めながらのお風呂ですが、きその大浴場は船とは思えないしっかりとした和の雰囲気漂う造り。ビジネスホテルも見習えよ、と思ってしまうほどきちんとした大浴場なのです。
時刻はまだ18時すぎ。出港すらしていないのに、この満足感。やっぱりフェリーにして良かった。やっぱりこの行程を組んで良かった。
15年乗らないうちに、フェリーは大きな進化を遂げていた。湯船の底から伝わる微かなエンジンの振動に、出港の時が今か今かと待たれるのでした。
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