久々に迎える関西での朝。朝風呂ですっきりと目を覚まし、お腹も減ったところで朝食を食べることに。会場には色々なおかずが置いてあり、ご飯派の僕には嬉しいラインナップ。
出し巻き卵にきんぴらごぼう、青菜のおひたしなどは定番の料理ながら味付けに地域差が大きく出るもの。食べてみれば、やっぱり薄味の関西を思わせる味。これでようやく、本当に舞鶴に来たという実感を得ます。
健康的な朝食を味わい、少し早い時間にホテルをチェックアウト。今日は観光をしつつ陰陽を縦断する予定なので、舞鶴をゆっくり見ることはできませんでした。これはまた次の宿題としてとっておくことにします。
ホテルから朝の舞鶴の街をのんびり歩くこと10分ちょっと、東舞鶴駅に到着。舞鶴市は東西に分かれた2つの顔を持つという不思議な街。ここ東舞鶴は、軍港を始め造船等で賑わった重工業の街なのだそう。
東舞鶴から舞鶴線の普通列車に乗車し、隣の西舞鶴を目指します。やってきたのは、緑一色に姿を変えつつも懐かしさを覚える113系。東海道線や横須賀・総武線で親しんだ車両との久々の再会に、思わず笑みがこぼれます。
国鉄型の無骨な揺れと音を愉しむこと6分、城下町として栄えた西舞鶴に到着。ここから京都丹後鉄道に乗り換え、あの日本三景の地を目指します。
今回乗車するのは、通称しろまつと呼ばれる車両。ななつぼしで有名なデザイナーがプロデュースした車両で、木を多用した内装が特徴的。この車両は日常の足として使われているため、指定券や特別料金は不要、運賃のみで乗車できます。
部活へ行く高校生を満載し、1両編成のディーゼルカーは重たい唸りを上げてゆっくり発車。舞鶴の街を抜けると、車窓にはのどかな京都の田園風景が広がります。
これが僕にとっては初めてのKTR。現在は高速バスを運行する会社と同系列のWILLERTRAINSが、京都丹後鉄道として列車を運行。
でも僕は、やっぱり北近畿タンゴ鉄道のほうがしっくりくる。子供の頃電車の本で見たタンゴエクスプローラーや、タンゴディスカバリーへの憧れが、未だ心に根強く焼き付いているのかもしれません。KTR。京王帝都、北近畿タンゴ鉄道、京都丹後鉄道。口に出して言いたいローマ字3文字。
そんな憧れであったタンゴエクスプローラーの未だ頑張り続ける姿も目にし、本当にKTRに乗っているんだという感慨に浸るひととき。東京から遠い遠い第3セクター。秋田内陸縦貫鉄道に乗車したときと同じく、筆舌に尽くしがたい嬉しさに包まれます。
あぁ、KTR・・・。きっと僕は気持ち悪い笑みを浮かべていたに違いない。そんな列車旅を満喫していると、車窓には大きな海が。若狭湾との初めての対面に、旅情は一層深まるばかり。
山に海、リアス式海岸らしい変化に富んだ車窓を楽しむこと約40分、ついに天橋立駅に到着。来たい来たいと願い続けて四半世紀以上、ついにようやくこの地を踏むことができたという喜びが全身から溢れ出します。
駅から賑わう方向へと進むと、そこには立派な山門が。天橋立の付け根に位置するこの智恩寺は、1200年以上の歴史を持つ古刹。日本三文殊のひとつとして、今も昔も多くの参拝客が訪れます。
賑わう境内を進み、大きく広がる屋根が印象的な文殊堂にお参りを。こちらの御本尊は、智恵を授けるという文殊菩薩。どうか御利益がありますようにと、深く深くお願いをします。
山門、文殊堂など歴史ある建造物の並ぶ境内。緻密な構造が目を引くこの多宝塔も、500年以上前の建築だそう。揺るぎなく建つその姿は、古くから集めてきた信仰の深さを物語るよう。
この大きな手水鉢は、以前は僧侶の入浴に使われる湯船として造られたもの。鉄製ですが、鋳造から700年以上を経た今でも朽ちることなく水を湛えています。
生まれて初めて訪れる丹後の地。願い続けてきた日本三景の残る一つとの対面を前に、この地の信仰と歴史の深さに触れるのでした。
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