まだ若い頃に訪れた金沢を忘れえぬ街にした風景のひとつ、茶屋街。3つの茶屋街巡りを終え、その感動が蘇る感覚に酔いしれます。
余韻に浸りながら歩く金沢の街。3つの世代の建物が仲良く並ぶ大通。僕に自分の好きな街並みを教えてくれたのは、間違いなくここ金沢。歩いてみて、そう再認識させられます。
あてもなく、駅方面へぷらぷらと。途中雰囲気の良さそうな商店街があったので、そちらへと曲がってみることに。金沢別院へと通ずるこの商店街には新旧の建物が並び、古くからお寺への道としてこの地に根付いてきた歴史を感じさせます。
木造の渋い建物があると思えば、東京のものとはまた違った顔を持つ味わい深い看板建築も。
そんな中発見した立派な木造建築。3階建ての木造の建物が放つ存在感は非常に強く、門前町としての歴史を物語ります。食堂たきやと掲げられた看板と、入り口の中に見える暖簾。古くからお参りする人々に愛され続けてきた食堂なのでしょう。
晴れ渡る空の下歩き続け、さすがに疲れたので駅からバスで香林坊へと戻ります。
香林坊バス停で下車し、日曜日の賑わう繁華街を背に坂を下ります。用水路沿いに延びる商店街を進むと、突如そこだけ時が止まったかのような街並みが現れます。
土塀の続く街並み、長町武家屋敷跡。後ろに控えるビルが香林坊の繁華街。これほど至近距離にありながら、藩政時代からの街並みが残されていることに驚きます。
ここ長町界隈はかつて藩士が住んでいた場所。今でも土塀の続く街並みで人々が暮らしています。感じられるその息遣いが、ここを包む雰囲気をより濃いものにしています。
賑わう繁華街の隣でひっそりと佇む古い街並み。住まう人々が大切に守ってきたことが伝わるようで、訪れた僕の方も背筋が伸びるような凛とした気持ちにさせられます。
江戸時代より続く、濃密な空気に包まれる武家屋敷跡。ギュッと詰まったその風情を思いっきり胸に吸い込み、車の通る道へと出ます。
振り返りもう一度眺める街並み。新旧の同居する金沢という街の魅力に、今一度くらくら来てしまいます。
金沢の街をいくつも流れる用水。武家屋敷沿いに流れるこの大野庄用水は、その中でも最も長い歴史を持つそうで、お城の建築に使う資材の運搬にも使われたそう。
先ほど歩いた武家屋敷の街並みは、基本的には人の住むお宅が中心のひっそりとした静かな街並み。それに対しこちらの用水沿いにはお店がいくつか並び、武家屋敷への玄関口として賑わっています。
加賀百万石を支えた城下町金沢で、古くから利用されてきた大野庄用水。用水沿いに続く土塀の下には取水口、排水口が切られ、武家屋敷の庭を潤す池の水としても利用されているそう。古くから続く、人と水の関わりを感じさせる風景。
人々に守られ続けてきた武家屋敷跡と水辺の景色に心を打たれ、長町を後にします。
ホテルのある片町へと、用水路沿いに歩きます。静かな街並みを進むと一軒の大きな商家が。江戸時代創業の薬屋を移築したというこの建物は、現在は金沢市老舗記念館として利用されているもの。
前回訪れた際、最初の方の段階で見たこの建物。全く名前や場所が思い出せず、印象に残ってはいたものの、もう再会できないだろうと諦めていた時に突然現した姿。偶然の再開に、何か偶然ではないものを感じずにはいられません。
新旧が混在し、それらが仲良く同居する街、金沢。小京都と言われる金沢には、大きな川があり、茶屋街があり、寺社があり、古い街並みがあり、用水があり。確かに京都の街を構成するものと似通った部分が多いのも確かですが、ハタチの僕が感じたのは、京都とは似て非なる、金沢独自の色
干支を一周し再び訪れた金沢は、その時の感動を、それ以上の魅力を以って蘇らせてくれました。加賀百万石の城下町としての歴史が育んだ重厚さ、そして独自の華やかさ。金沢、本当に好きだなぁ。今日一日街歩きをし、一層僕の中で大きな存在となるのでした。
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