高山での濃厚な一夜が明け、少々二日酔い気味のお目覚め。それでも朝風呂を浴びれば目が覚め、お腹も空いてくる。旅先の力というのは不思議なものです。
本当は駅に近いビジネスホテルにでも泊まろうかと考えていましたが、飛騨牛が美味しいというこちらのお宿をじゃらんで見つけ、朝食の朴葉味噌に飛騨牛をプラスできることを知ってこちらに泊まることに。
早速飛騨牛入りの朴葉味噌がメインの和朝食を頂きます。煮物、せりの和え物、ごぼうサラダや海苔、卵といったおかずの他に、飛騨牛が思いのほかたくさん載せられた朴葉味噌が存在感たっぷりに鎮座しています。
焦げ付かないようじゅうじゅう言わせながら焼いていけば、味噌の香ばしい香りが食欲をそそります。丁度よく焼けたところでひと口。間髪入れずにご飯が欲しくなる、間違いない美味しさ。
山菜入りのさっぱり系朴葉味噌はお酒のアテという感じでしたが、脂の載った飛騨牛入りの朴葉味噌は、言わずもがな白いご飯の最良の友。
ちなみに、これまで3か所で朴葉味噌を食べましたが、どれも味噌の味が違い、それぞれ違った美味しさ。昔から飛騨で食べられてきた家庭の味というだけあり、その家庭やお店独自の味があるのでしょう。その違いを味わうのも楽しみのひとつです。
朝から飛騨牛でちょっとだけ贅沢を楽しみ、旅館を後にします。今日の午後には高山を発ち、奥飛騨へ向かいます。それまでの間、昨日回れなかった所を重点的に、のんびり街歩きを楽しむことにします。
高山の渋い街並みを演出する出格子と、雨に濡れる紫の花。今日も生憎の空模様ですが、梅雨入りのこの時期には、このしっとりと雨に濡れた風情を存分に楽しむ方が季節感があるというもの。
昨日歩いた古い街並みを抜け、なおも古い建物が立ち並ぶ静かなエリアをのんびりと歩きます。途中大きな参道にぶつかれば、目指す神社はもうすぐ。
突き当りの小高い山のふもとに建つ、櫻山八幡宮に到着。平日の昼前、それも強い雨というのに、思いのほか観光客が多くて驚き。昨日の古い街並みといい、高山にはお客さんが沢山来ているようです。
傘を片手に石段を登り、早速お参り。古くからの歴史を強く感じさせる、木々に囲まれたお社。1600年以上も前に起源を発するこの神社が、あの有名なお祭りの舞台となっています。延々と続いてきた人々の信仰が、今なお受け継がれています。
お参りを終え、併設された『高山祭屋台会館』を見てみることに。秋の高山祭といえば、の絢爛豪華な屋台が展示されているこの建物。中にどんな屋台が展示されているのか入る前から楽しみ。
館内には、いくつものきらびやかな屋台が展示されています。見上げるほどの高さと、目を見張る豪華さ、そして彫刻や装飾の美しさはまさに圧巻のひと言。ほとんどが江戸時代に作られ、守られてきたものだというから驚き。その美しさを、写真でお伝えしたいと思います。
ひとつとして同じ趣の無い、特徴ある屋台の数々。神楽台や鳳凰台、神馬台というように、それぞれの特徴を表すかのような名前が付けられています。
古くから、税の代わりとして都へ働きに行っていたという飛騨地方の職人。飛騨の匠と呼ばれる人々は、上方で培った技術を飛騨へを持ち帰ったそう。
そして江戸時代に幕府の天領となり、上方と江戸の文化がこの地で融合して造り上げられたのが、この屋台だそう。その独特な魅力をうまく伝えることは出来ませんが、本当に東と西の折衷といった趣。
スロープ状の通路を一周すれば、ずらりと並ぶ姿を望むことができます。これが町内を練り歩いたら・・・。その圧倒的な迫力は想像に難くありません。
館内では、高山祭の様子を紹介するビデオが上映されています。明るい太陽の下で輝く屋台も魅力的ですが、日が暮れて、無数の提灯を揺らしながら練り歩く姿も幻想的。昼夜二つの顔を楽しめる。そんな高山祭、いつか訪れてみたいものです。
飛騨の匠が造り上げた豪壮な街並みと屋台。それを可能にした旦那衆と呼ばれた町人の財力。今も残るそれらに触れ、25年以上振り、大人になってから初めて訪れた高山という街に魅かれてゆくのでした。
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