白川郷からバスに揺られること50分、飛騨高山駅に到着。これから1泊2日の間、高山のしっとりとした街並みを楽しむこととします。
長旅の大敵である、かさばる着替え。半量に済ますため、今回は高山駅より歩いて15分程度の場所にある、フレスポというショッピングモールにあるコインランドリーを活用。洗濯物を預け、洗っている間に高山歩きを楽しみます。
目指すは古い街並みの上三之町エリア。地図を片手に方角を定め、あとは足の向くまま気の向くままに路地をのんびり歩きます。
高山の観光名所である古い街並みと呼ばれる界隈は、その名の通り古い商家がまとまって残っている場所ですが、そこまで行く間にも、十分過ぎるほどの古い家々が市内に残っています。古い街並みに着く前に、すでに高山の雰囲気に染まってゆくよう。
江戸時代の建物がそのまま現存するという高山陣屋。全国にいくつもあったなかで、現存するのはここ、高山陣屋だけだそう。ぜひぜひ中へ入ってみたかったのですが、時間と空模様を鑑みて今回は外からちょっと覗くだけに。これからしばらく雨の予報。折角なのにちょっと残念。
陣屋前、ひときわ目を引く赤い欄干の橋を渡り、いざ古い街並みへ。飛騨高山といえばあれ、と頭に浮かぶ街並みを目前に、傘を持つ手にも力が入ります。
橋を渡って川沿いをちらりと見れば、すでにもう良い雰囲気が漂っています。モノクロームの歴史香る建物に映える、鮮やかな緑。小雨降るこの風情もいいものです。
そしていよいよ古い街並みへと入ります。5月末の平日、僕は勝手に空いているだろうと思っていました。が、平日とは思えないほどの観光客。思いがけない活気と、それに気圧されず威風堂々と横たわる商家の街並みに思わず見とれてしまいます。
街並みに見とれていると、目に飛び込む大きな杉玉と積まれた酒樽。条件反射的に標的ロックオン。酒飲みの悲しい性です。
足は勝手に店内へ。深山菊を醸造する『舩坂酒造』へお邪魔します。中は酒蔵らしく様々な種類のお酒が並び、他にもお土産品が沢山。人もたくさんでとても賑わっています。
そんな賑やかな店内の中見つけてしまった、試飲コーナー。無料での試飲もできるようですが、なんといっても嬉しいのが、一杯数百円で楽しめる升酒。如何にもお酒が好きそうなお兄さんに好みを伝え、純米吟醸を出していただきました。
溢れる升酒を片手にテラス席へ。腰を落ち着けひと口飲めば、水の美味しさを感じる優しくもすっきり、美味しいお酒。
蔵などの歴史溢れる建物に囲まれた中庭。緑を伝う雨粒の行方をぼんやり眺めながらの一献は、まさに至福の瞬間。テーブルに置かれた塩をちびりと舐め、酒で流す。あぁ、高山に来て良かった。これだけでもKO寸前。
僕の好みのお酒に気を良くし、今宵の友にと原酒のワンカップをゲット。気分良くお店を出ると、目の前にまたまた大きな杉玉が。よく見ると山車(さんしゃ)と看板がかかっています。
この名前、そういえば前の職場で働いていた方から勧められたお酒だった。それなら行かねばならぬまい、ということで、『原田酒造場』にはしご酒♪
中へと入ると、目を見張る重厚さ。木材が年月を重ねて黒光りする姿は、物を語る以上に何かを訴えかけてくるかのよう。先ほどの蔵のモダンな雰囲気も好きですが、これぞ酒蔵、といったこちらの雰囲気も大好き。高山、好き!
そしてこちらでは、ひとつ100円のこの小さなおちょこを買えば、冷蔵ケースに並ぶ試飲コーナーのお酒をいくらでも試飲できるシステム。ヤヴァイ予感ぷんぷん、潰れるにはまだ早すぎるぞ・・・。
よりどりみどり、子供の頃に戻ってしまった酒飲みおやじは、はやる心を抑えつつひとつずつじっくり試飲。
こちらのお酒で特徴的なのは、花から作られた花酵母からくるフルーティーさ。花が違えば酵母も違う、それぞれ全く別物の香りと甘みがあり、同じ蔵元が作っているとは思えないバラエティーに富んだラインナップ。
どれを飲んでも美味しいので、本当に飲みすぎ注意。全種類ちょっとずつ、と思いましたが、この後が本当に危なくなりそうだったので泣く泣く断念。その中でも一番印象的で好みだった、特別純米蔵元秘蔵酒を購入。翌日の夜のお供にしたので、味わいは後ほどご紹介。
のっけから早くも圧倒される、高山の古い街並み。入口すぐでもう捕まってしまいました。本当はこのまま飲んでいたい。いや、やっぱりきちんと街歩きを楽しみたい。自分の中の天使と悪魔が拮抗する場面を目の当たりにした瞬間でした。
それでも僅差で天使の勝ち。頬を赤くしつつも、未練を断ち切り古い街並みへと歩みを戻すのでした。
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