新宿を出発してから約8時間、バスは定刻より少しだけ早く金沢駅に到着。いやぁ、やっと着いた。バスでの8時間が、待望の金沢までやってきた感を一層強く感じさせます。
駅から今宵の宿のある繁華街、片町までは少し距離があるのですが、折角の久しぶりの金沢。宿までてくてく歩くことにします。
駅前の大通りを進み、明後日に行く予定の近江町市場を通り過ぎ、香林坊へ。香林坊はデパートや109の並ぶ繁華街で、ここを歩くと12年前に感じた金沢の大きさが蘇ってきます。
この日は丁度土曜日。渋谷のように混雑する109前を過ぎ、夜の街片町へ。もう、人で人で人で、すごい混雑。さすがは加賀百万石の城下町。この街の賑わいに、東京から来た僕も圧倒されそう。
それでいて、ただ派手に賑わっているのではなく、街に独特の雰囲気がある。雅というのか、伝統というのか。ハタチの時に感じた金沢の雰囲気が変わらずに在り続けていること。それを感じられただけでもここへ来た甲斐があります。好きだなぁ、金沢。
賑やかな片町商店街から脇道へと曲がり、これから2泊お世話になる『ホテルエコノ金沢片町』に到着。
繁華街片町に位置し、これから2夜がっつり飲もうと企んでいる僕にとっては最高の立地。さらにじゃらんで予約するとかなりお安く泊まれるというのもいいところ。
ホテルにチェックインし、一旦落ち着いたところで夜の片町へ。日が暮れ始め、看板の灯りが目立ち始めたこの街は、先ほどとはまた違った表情を見せてくれます。
今回は、お店はほとんどリサーチせず。色々調べてはいましたが、何せ繁華街の規模の大きい金沢のこと。調べれど調べれどいくらでもお店が出てきて、もうどこがいいのか分からなくなってしまいました。なので、今回は自分の直感を信じ、店構えとメニューで飛び入りを決行することに。
そして見つけたいい感じのお店。金沢最初のグルメは、ここ『一合半ぶん家』で楽しむことに。店頭には金沢野菜や日本海の幸、地酒など堪らない文字列がたくさん並んでいます。あぁ、楽しみ楽しみ♪
まずはどじょうの唐揚げ。金沢はどじょうを良く食べるようで、来たら注文しようと思っていたひと品。臭みや癖が無く、からっと揚がったどじょうの香ばしさとちょっとしたほろ苦さがビールにピッタリ。バス旅の疲れを癒してくれます。
続いては金時草のおひたし。加賀野菜の金時草は、葉の裏が紫色をした珍しい菜っ葉。モロヘイヤのような独特のぬめりと、強いシャキシャキとした食感が美味。菜っ葉好きの僕としては堪りません。
こちらはがす海老のお造り。聞き慣れない名前ですが、日本海側では良く食べられるそう。身はぶりぶりとした歯ごたえがあり、上品な甘みと旨味がぎっちり詰まっています。かなり食感が良いので、一発でファンになってしまいました。
こちらはふぐの子糠漬け。金沢に来たら絶対食べようと思っていたひと品。
ふぐの子、イコール、卵巣。普通に考えたら絶対に、絶対に食べてはいけない部位。それが、石川伝統の調理法、糠漬けにすると毒が分解されるというから不思議なもの。2~3年漬け込むことで、何かしらの微生物が毒を消すそう。
初めて口にするふぐの卵巣。思ったよりも粒が大きく、しっかりとぬかに漬けてあるためギュッと詰まった食感。味わいはしょっぱい糠漬けのため、さばのへしこと同じような感じですが、独特のプチプチ感と、食べてはいけないという背徳感が異様に美味しく感じさせてくれます。
食べていると何とな~く、舌先がピリッとする感じが。きっと塩分によるものなのでしょうけど、このイケナイ感が堪りません♪もちろん、石川の地酒が進むのは言うまでもありません。
そして〆は、大好物岩がき。能登産のもので、立派な殻に負けず立派な身がブリンと鎮座しています。その大きさから3等分にカットされていますが、箸で持ち上げても中身どころかエキスまでも垂れてきません。新鮮な証拠なのでしょう。
見るからに新鮮そうな身を一切れパクリ。濃厚な日本海のエキスが口中に広がります。が、それよりも驚いたのがその食感。かきも貝であることを強く主張するコリコリ感。これまでも大好きでかきを食べてきましたが、ここまで貝らしい食感のものは初めて。もう旨い!!!!のひと言に尽きます。
12年前に味わって以来、金沢の味を再び楽しみたいと願い続けてきた僕。念願がやっと叶い、大満足の夜を過ごしました。あれだけの日本海や加賀の土地の恵みが並べば、石川の酒が進まない訳がありません。金沢で出会ってファンになった加賀鳶を始め、数々の地酒を楽しみました。
そしてすっかりエンジンの掛かってしまった僕は、そのあと2軒ほど行ったのですが・・・。あまり記憶が無いのはここだけの内緒です(汗)
華やかさと美味しさに溢れる金沢の夜。12年前の時は食事付きで泊まったため、そして、ひとりで居酒屋に入る勇気が無かったため、こうやって夜の金沢を千鳥足で歩くのは初めてのこと。
期待通り、いや、それ以上の旨いもの、うまい酒を振る舞ってくれた金沢。片町の灯りは、酔っぱらいの目にきれいな夢と思い出を見させてくれました。
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