いよいよ、この旅最後の目的地である松本に到着。金沢から始まった旅もここで終わりとなると、色々な思いがこみ上げてきます。
それでも、久しぶりの対面を果たしたかったあの場所が待っている。そう自分を元気付け、街へと歩き出します。
駅から街の方へと歩いていると、川沿いに風情ある建物が並ぶ姿を発見。帰りのバスまではまだまだ時間たっぷり。偶然見つけたこんな街並みをのんびり歩いてみる、そんなこともひとり旅の楽しみのひとつです。
この商店街は縄手通りというそうで、江戸時代の松本の城下町の風情を再現したものだそう。緩やかなカーブを描く道に沿って並ぶ町屋風の建物には、骨董品や地の恵み、美味しそうな食べ物などを売るお店がいっぱい詰まっています。
この辺りは古くからの飲食店街のようで、古い街並みを再現したメインストリートの横には、昭和を感じさせるような路地がいくつも延びています。
僕はというと、実はこんな路地の方が好き。観光客向けでは無く、地元の人々が昔から通ってきた道。そこにその街の雰囲気が感じられるような気がします。
縄手通りを一通り散策し、気になった路地のうちひとつに足を踏み入れてみることに。
舗装はきれいにされていますが、軒を突き合わすかのように細い路地に並ぶ建物と、路地の空を塞ぐようにして重なる看板。路地裏という言葉を体現したかのような空気にワクワクが止まりません。お昼も良いですが、今度は泊まって千鳥足で歩いてみたいなぁ、そんな妄想を禁じえません。
細い路地を抜けると、以外にも道幅は広くなり、人通りがちらほらと。道の横に流れる用水路が、古くからこの道が人々の暮らしにかかわってきた来たことを物語ります。
地元の方の往来が結構あったため、あまり写真は撮れませんでしたが、この一帯はレトロな雰囲気が漂う濃厚なエリア。昭和の空気を存分に感じさせる建物が密集するような路地もあり、好きな人は絶対好きなはず。もちろん、僕もどっぷりとはまってしまったことは言うまでもありません。
思いがけず風情溢れる街並みに出会い、知らない街歩きを満喫したところでお昼の時間に。この旅最後のグルメ、そして信州といえば、もちろんそばに決まり。
どこのおそば屋さんへ入ろうかと悩みつつお城を目指し、目の前にある『川船』にお邪魔することに。
この日は観光客でどこのお店もいっぱい。それでもなんとかカウンター席へ案内してもらいました。こういう時は、「ひとりですけど・・・。」と言うのが心苦しい瞬間でもあります。
このお店に決めたのは、店頭のメニューにあった古城セットなるものが魅力的だったから。早速大雪渓とともに注文すると、お酒と共に何品も運ばれてきました。
手前は手造りそばの実入りそば豆腐。濃い食感の豆腐の中に散りばめられたそばのみが歯に心地よく、歩いた喉にさっぱりとした美味しさ。
奥は天然きのこおろし。つるんとぬめりのある大ぶりのきのこと大根おろしの美味しさは、言うまでもなく大雪渓の相棒に最適。左のとろろはおそばに取っておくとして、お通しの切り干し大根と共に大雪渓をちびちび楽しみます。
続いてやってきたのは、大ますの握りとにじますつぶら揚げ。大ますの握りは脂がのりつつもクセが無く、すっきりとした信州の酒に相性バッチリ。
にじますつぶら揚げは、にじますを丸ごと一尾揚げたものに、しょう油ベースの甘辛だれを絡めたもの。パリッパリに揚げられたにじますは頭から尻尾までカリカリの美味しさ。ちょっと濃いめの味付けが大雪渓を誘い、これまた良いコンビ。
最後に盛りそばが登場。細すぎず太過ぎず、僕の好きな太さのおそばは、つるっとコシのある喉越しの良いおそば。きのこに鱒にと、山の味覚がを楽しんで美味しいお蕎麦で〆てお腹一杯。
狭いカウンターに並ぶ品々ですが、これで1,500円。正直、お城の目の前の観光客向けのお店だろうと思いながら入りましたが、メニューの通りの内容と、それぞれきちんとした美味しさに大満足なお昼となりました。
この旅最後の味覚を味わい、続いて目指すは松本城。小学生の頃、あずさ乗りたさに連れてきてもらった松本で、初めて出会った黒いお城。その時の印象が鮮明に残り、いつか、いつか再訪をと待ち望んできました。
そんな待ちわびた瞬間まであと少し。僕にお城の美しさ、格好良さを教えてくれたあのお城との対面に、歩くのももどかしい気持ちで門を目指すのでした。
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