いよいよ金沢を発つ日。2泊3日の短い金沢滞在、最後の最後まで金沢を楽しもうと、バスの時間まで街歩きを楽しみます。
まず向かったのは、香林坊のデパートのすぐ裏手にある、石川四高記念館。明治時代の重厚なレンガ造りの校舎が放つ威厳に目を奪われます。
石川四高記念館を後にし、大通りを近江町市場方面へ。しばらく歩くと続いての目的地、尾山神社に到着。立派な鳥居の奥に聳える変わった造りの神門が目印。
明治8年に建てられたという神門。和漢洋、3つの異なる建築様式を融合させた、これまで見たことのない独特な雰囲気を持つ門。
特に3層目のギヤマンが独特の光を放ち、神社の門とは思えない、何とも言えぬエキゾチックな雰囲気を醸しています。
神門をくぐり、立派な拝殿でお参りを。こちらは前田利家公とお松の方が祀られた神社。その荘厳さに、この地の方々の前田家への想いの深さが伝わってくるよう。
こちらにも、清冽な水が引かれる神苑が。当時は兼六園から暗渠で水が引かれていたようですが、現在は井戸からの地下水が導かれているとのこと。この日も暑いくらいの気温の中で、きれいな水がさらさらと流れる姿に癒されます。
この神苑は、神社が出来る前、江戸時代からあったという歴史ある庭園。その中でも目を引く、アーチが美しい図月橋(とげつきょう)。江戸時代に造られたとは思えない美しい意匠が印象的。
最後にもう一度、威容を誇る神門を眺めます。石、木、銅、そしてガラス。それぞれの素材を組み合わせて造り上げられた唯一無二の美しさを、しかと目に焼き付け尾山神社を後にします。
再び近江町市場を目指し、歩きます。尾山神社の前を通る生活道路をのんびり、ぶらぶら。色々な世代の建物が同居する街並みが味わい深い金沢。こんなレトロなブティックも、そんな街並みを味わい深くする名脇役。
12年ぶりに訪れた、大好きな街金沢。そんな金沢歩きも最後の目的地に到着してしまいました。金沢の台所、近江町市場です。
いくつもの筋が縦横に走る近江町市場。両脇には日本海の幸を始め、野菜や肉を扱う商店が無数に並び、その活気に圧倒されます。12年前に訪れた時に感じた活気、そして目を奪われた旨そうな鮮魚たち。その感動そのままに、再び僕を迎えてくれました。
旨い海の幸が集まる近江町市場で最後の金沢グルメを。近江町市場内には海鮮丼を始めとする食堂がいくつもあり、どこへ入るかかなり迷いましたが、今回はお寿司を食べたい気分だったのでこちらにお邪魔することに。いちば館という建物の2階にある、『近江屋伝兵衛』へと入ります。
金沢での最後の食事にと注文した、近海にぎり。見るからに美味しそうな握りがずらっと並びます。
がす海老はとろっとした食感と広がる甘味が堪らなく、甘えびも東京では決して味わえない新鮮さ。載っかる卵のプチプチ感も最高。ふぐの白子は言うまでもない濃厚な旨さが広がり、貝やえびの中に2つだけ入った白身もコリッとした歯ごたえと脂が堪りません。
そんな中でも一番印象的だったのが、中央にある鮮やかな朱色をした貝、赤西貝。これは北陸でしか食べられない貝だそうで、もちろん僕も初めて。
ワクワクしながら初の赤西貝を頬張ってみると、思いっきりゴリゴリとした強い食感に驚きます。その強さは大好物の活つぶ貝を超えるほど。ちょっとした独特の風味と磯の香りを感じ、貝好きの僕にとってはこれ以上ないというほどのご馳走。
赤西貝、北陸でしか味わえないというのが本当に惜しい。でも、現地でしか食べられないものがあるからこそ、旅の楽しみが増すというもの。またひとつ、食べたいものが増えてしまった。旅するごとに贅沢な悩みが増えてしまいます。
様々な魅力で迎えてくれた金沢の街とも間もなくお別れの時間。最後の最後まで旨いものを堪能し、その余韻に包まれつつ駅へと向かうのでした。
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