松本駅で立ち食いそばを食べ、目の前に停車していた大糸線でのんびり揺られること25分、ついにこの旅最後の宿泊地の最寄である穂高駅に到着。
金沢行きのバス車内から何度も目にしてきた、残雪を頂く初夏の山々。幾ら見ても飽きることはなく、毎回新鮮な感動を与えてくれます。穂高に降り立った瞬間に目にした山々も例外なく、驚くほどの美しさ。ホームからの眺め、本当に凄すぎます。
電車が発車してからも、圧巻の眺めにしばしホームに佇んでしまいました。みんな改札口へ向かってしまい、はたと気が付き急いで改札へと進みます。
抜けるような青空と、爽快な空気に包まれる穂高駅。立派な駅舎を眺めつつ、駅前でのんびりバスを待ちます。
美しい山々を遠目に眺めながら待つことしばし、マイクロバスが到着。『中房温泉乗合バス』は、これまで車が無いからと諦めていた秘湯、中房温泉へと連れて行ってくれる、本当にありがたい路線。このバスの存在を知らなければ、憧れの秘湯へ行くことは叶わなかったことでしょう。
ちなみに、運行期間は春から秋までの期間限定、月によっては土日祝のみの運行になるようです。本数も少ないので、リンクした南安タクシーのHPを必ずチェックしたほうがいいでしょう。
穂高駅から乗車したのは僕ひとり。窓を開けて安曇野の空気を胸いっぱいに吸い込みながらバスに揺られます。遠くには、角度を変えるごとに美しい姿を見せるアルプスの山々。胸のすくような爽快感に酔いしれます。
バスはどんどん山へと近付き、遠くの山々が見えなくなったと思った途端、道が急に険しくなります。
県道はグネグネと蛇行し始め、新緑に溢れる深い森の中へ。勾配もどんどん増し、ついには離合できないほどの細い道へと変化。マイクロバスのエンジンも、聞いたことのないほどの悲鳴を上げています。
凄い、凄すぎる。これまで、夏油や松川などの山奥の秘湯へバスで連れて行ってもらいましたが、この道は別格。これまでにない険しい道に、憧れてきた秘湯への期待が一層強くなります。
文字通りバスに揺られること約1時間、終点に到着。バスから降りると、目の覚めるような鮮やかな黄緑色に視界が奪われます。
力みなぎる新緑に、初夏ならではの抜けるような青空。その色彩の洪水に、しばし見とれてしまいます。この気持ちよさだけでも、ここへ来て良かったと思えるほど。
大きく深呼吸し、いざ宿へと向かいます。途中には、早速見えてきた小さな地獄。そう、この山ぜ~んぶ、この温泉旅館のもの。山のいたるところから温泉が湧き、湧きたての温泉をそのまま使った露天がいくつもあるのです。
以前テレビで見て以来、ずっと来てみたかった中房温泉。このロケーションに、湯巡りを始める前から胸は高鳴るのでした。
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