GW 列島半分 ぐるり旅 ~願えば海路の日和あり 6日目 ①~ | 旅は未知連れ酔わな酒

GW 列島半分 ぐるり旅 ~願えば海路の日和あり 6日目 ①~

新日本海フェリーはまなす日本海のどまんなかで迎える曇天の朝 旅グルメ

日本海の真っ只中で迎える、特別な朝。低く垂れ込めた雲と視界をかすませる靄も、日本海というイメージにピッタリだと思ってしまうから不思議なもの。

天気はぱっとしませんが、目覚めはすっきり爽やか。というのもこの船、本当に揺れないのです。海面を見る限り太平洋と同じくらいか、もしくは少々波が高いようにも見えるのですが、それでも揺れは本当に少ない。

乗船している感覚としては、海に浮いているというよりも波を蹴って走っているような感覚。船特有のふわふわふらふらが、このときは全く感じらませんでした。

新日本海フェリーはまなす曇天の日本海を眺めながらのモーニングコーヒー
さすがは高性能を誇る船をいくつも運航する新日本海フェリー。日本海側で初めての長距離フェリーとして誕生しましたが、就航前はときに荒れ狂う日本海をフェリーで結ぶなど無謀とさえ言われたこともあったそう。

それでも船に工夫を重ね、こうして立派な大動脈へと成長しました。実際にはまなすに乗っていると、乗り物の基礎である性能や快適性へのこだわりが随所に感じられるのです。

天窓の付いた屋根で雨をしのげる新日本海フェリーはまなすオープンデッキ
流れる航跡の速さは、これまでフェリーでは体験したことのないスピード。それなのに、揺れない。乗り心地に感動しつつモーニングコーヒーを味わえば、この曇天もどこへやら、気分はすっかり爽快に。

でもそこは曇りの日本海、だんだんと寒くなってきたので船内へと戻ることに。そう思い振り返ると、昨夜は暗くて分かりにくかったオープンデッキの全貌が。

雨をしのぎつつ陽の光も感じられるよう屋根には天窓が設けられ、ゆっくり過ごせるようにとテーブルも完備。そしてやっぱり感じる、ちょっとしたバブルの残り香感。誤解を恐れず敢えて言いますが、僕はこの船のいい意味で垢抜けない感じが、ものすごく好き。

新日本海フェリーはまなす日中の明るいカフェ
この船ができたのは2004年。時代は不景気真っ只中、就職氷河期の影響をモロに受けた僕らの世代が、大人になった時代。それなのに、この分かりやすいゴージャス感。

不況という波に負けず、船での時間を楽しんでもらいたい。船という乗り物の特別感を守りたい。そんな想いが、僕には感じられて仕方ないのです。

新日本海フェリーはまなす大浴場からレストランへと通じる廊下
だめだ、乗り物好きの悪いところが出てしまった。僕が乗り物に乗るとき、ただの機械やそれが通る路線だとは思えないのです。そこには歴史があって、背景があって、結ぶ意味があって。そんなことをいつも妄想してしまう。

曇天の日本海を眺め日本海感を存分に味わったところで、朝食の時間に。はまなすにはグリル、レストラン、カフェと3種類の供食設備があり、それぞれ形態や営業時間が異なります。

明るい雰囲気の新日本海フェリーはまなすレストラン
今回はレストランで朝食をとることに。中へと入ると、淡色をベースとしたナチュラルな内装と、たくさんの窓から溢れる光に満ちた明るい雰囲気。船ならではのスペースの広さを活かし、ゆったりとした空間の中食事を楽しめます。

新日本海フェリーはまなすレストランカフェテリア方式の朝食
レストランはカフェテリア方式での営業。入口でトレーを取り、並んだ品々の中から好みのものを選んで最後にお会計を。メニューも和洋どちらにも対応しており、パン派ご飯派どちらにも優しいのが嬉しいところ。

ということで、ご飯派の僕はこんな献立。カフェテリア方式は、ついつい取りすぎてしまう。新日本海フェリーさんの思う壺、お会計の時にちょっとだけビックリしたのは内緒です。

焼鮭に納豆、たらこに塩辛。日本海を眺めながら食べれば、いつも以上に美味しく感じるのだから不思議なもの。この愉しみは船旅ならでは、船上でしか味わえない贅沢。

新日本海フェリーはまなすとても静かなフォワードサロン
洋上での朝食にお腹も心も満たされ、食後のひとときを楽しむことに。同じく5甲板の前方にあるフォワードサロンへと向かいます。ちなみにこの真下にはスモーキングルームがあり、たばこと共に海原を楽しみたい場合はそちらを利用します。

重たい扉を開けると、並ぶ窓から流れ込む光に満ちたシックな空間が。最前部にはカウンターと椅子が並び、後方にはゆったりとしたソファー席も。

更に驚くのは、その静かさ。船の最前部に位置するこの部屋では、エンジンの音や振動を感じ取ることはほとんどできません。グレードの高い船室が前方に配置されがちな理由を、初めて体感しました。

新日本海フェリーはまなすフォワードサロンから眺める鉛色の日本海と鋭い船首
前面展望を楽しめる椅子席に腰をおろし、鉛色の日本海を静かに眺めるひととき。今自分は、船長と同じ景色を見ている。そう思うだけで、子供っぽい僕は昂ってしまう。

いいなぁ、海って。船にいると、見るものなんて海くらいしかない。でもそれがいい、だってどれだけ見ても飽きないのだから。

今日の鉛色も日本海らしくていいけれど、今度は晴れ渡る青い日本海を見てみたい。もうこの瞬間、僕の再乗船は決まったも同然。そう思える船に、今乗っている。その幸せを、静かな空間で噛み締めます。

新日本海フェリーはまなすツーリストA(寝台)でごろごろ過ごす怠惰な時間
フォワードサロンに流れるゆったりとした時間を愉しみ、自室へと戻ります。窓に広がる曇り空を眺めつつ、ごろごろとする無の時間。日常では味わえないこの甘美な怠惰が、船旅の真骨頂。

新日本海フェリーはまなすツーリストA(寝台)便利な荷物棚の窓
華美な装飾はなく、シンプルさが心地よいツーリストA(寝台)の室内。ですが、シンプルに見えつつも便利に過ごせる工夫が。

前回もちらりと書きましたが、荷物棚にあけられたこの窓がとても便利。寝台から直接ものを取り出せるというちょっとした工夫が、長い時間を過ごす船旅の中で意外とじわじわ効いてくるのです。

曇天の日本海で繰り広げられる新日本海フェリー姉妹船はまなすとあかしあのすれ違い
昼前の寝台で極上のグダグダ感を味わっていると、まもなく姉妹船あかしあとすれ違うとの船内放送が。早速オープンデッキに向かい、その瞬間を見守ります。

視界の良くない、曇天の日本海。見られるかなぁと思っていると、遠くから響く汽笛の音が。目を凝らせば、遠くに見える白い優美な巨大船。

そう思ったのも束の間、白亜の姉妹はあっという間に行ってしまった。お互い高速船同士、相対速度は100km/h以上。日本海の荒波を越えるためにと大型化され、日本最長である全長224.5mを誇る巨大船同士の離合は、思いがけずあっさりとしたものでした。

鉛色の日本海で繰り広げられる、姉妹の一瞬の離合。はるかに霞み見えるその姿に、日本海ならではの旅情を深く味わうのでした。

GW 列島半分 ぐるり旅 ~願えば海路の日和あり~
太平洋フェリー船上で眺める御来光
2018.4-5
愛知/北海道/京都/兵庫/岡山/香川
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●1・2日目(東京⇒名古屋⇒太平洋フェリー)
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●3日目(太平洋フェリー)
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●4日目(太平洋フェリー⇒苫小牧⇒札幌)
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●5日目(札幌⇒小樽⇒新日本海フェリー)
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●6日目(新日本海フェリー⇒舞鶴)
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●7日目(舞鶴⇒天橋立⇒姫路)
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●8日目(姫路⇒岡山)
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●9・10日目(岡山⇒琴平⇒高松⇒東京)
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